ミュンヘン空港での“ひと声”から始まった出会い

トメさんの、まずは誘いに乗っかってみるという“Yesの連鎖”は、日本を旅立ったときからすでに始まっていました。
行きの乗り換え地であるミュンヘン空港でのこと。1時間15分という短い乗り換え時間に不安を抱いていたトメさんは、同じ便に乗るイタリア人女性2人の英語を耳にし、思い切って声をかけました。
「『私も同じ便なんです!』と言ったら、『じゃあ、一緒に行きましょう!』と言われて」
その一言から会話が弾み、すぐに意気投合。彼女たちから「ミラノでシェアオフィスをやっていて、一部屋空いているから、泊まりにおいでよ!」と、誘われたのです。
「うれしかった反面、『もしも壺が出てきたらどうしよう』『マフィアに連れて行かれでもしたら』とネガティブな妄想でいっぱいになりまして(笑)。でも、とても素敵な女性たちだし、ここは勇気を出して誘いに乗ってみることにしたんです」
早速、連絡先を交換し、現地の人たちの間でよく使われているメッセージアプリ「WhatsApp(ワッツアップ)」をダウンロードしてやり取り。ワクワクドキドキでミラノに向かうと、明るく二人が出迎えてくれ、ホッと胸をなで下ろしたと言います。
夕食を囲みながら、お互いの仕事のこと、政治のこと、女性のこれからの生き方まで語り合い、心ときめく時間を過ごしたトメさん。
「私の英語が拙いので、20歳も年下の彼女たちが、まるでお姉ちゃんのように面倒を見てくれて(笑)。まさかイタリア人の友達が2人もできるとは思ってもいませんでした」
倒れて気付いたセーフティネットの大切さ
順調に見えた旅ですが、思わぬピンチにも見舞われました。フィレンツェ滞在中にインフルエンザにかかり、その後、持病の喘息の発作も出てしまったのです。
高熱と、やまない咳……。すぐさまChihoさんにSOSを出すと、現地の医師を紹介され、クリニックへ。オンライン通話でchihoさんに同時通訳してもらい、必要な薬を処方してもらうことができたそうです。
「慣れない海外での体調不良で心細かったところ、助けてもらって本当に心強かったです。驚いたのは、Chihoさんが医療通訳のお仕事もされていて、フィレンツェ中のお医者さんとつながっていたこと。
クリニックのお医者さんから『今日はチコ(Chihoさんの愛称)は来ないの?』って言われるぐらい、街の人たちから愛されていて。
Chihoさんのように異国の地で力強く根を張る生き方も本当に素敵だなぁと感動しました」
そして、大人の冒険には、現地に知り合いや頼れるプロの存在が欠かせないことを実感。「旅のセーフティネット」の大切さを痛感したと言います。

