◆吉原勤務は「自傷行為」に近い
――しかし夢二さんは18歳になるとすぐに吉原で働き始めますよね。嫌いだったお母様と同じ職業に就いたのはどうしてでしょうか。夢二:そうですね。あの当時は「金のためだ」と思っていました。でも今振り返ってみると、母に対して「あなたの子育てはこんな女性を産み出したんだよ」と見せつけて、現実と向き合わせたかったのかもしれません。しかもお客様のどんなリクエストにもお応えして、No.1になって。半分くらいは自傷行為ですよね。
――奇しくも、その吉原で人の優しさに触れた。
夢二:そうですね。お客様はもちろん、スタッフの皆さんが本当にサポートしてくれて。自分が抱えている問題について親身になってくれる人もいました。性的な関係でつながる場所で、人間として扱ってもらえたのは意外でしたが、嬉しく思いました。結果として、働いてよかったなと感じます。
◆最高月収600万円も、同棲相手に持ち逃げされる
――お母様も男性には失敗してきましたが、夢二さんも男性で失敗したことがあるとか。夢二:本当に。もっともショックだったのは、18歳から22歳くらいまで交際した男性との話ですね。吉原で働くかたわら通っていたスポーツジムで出会いました。ホストなどの夜職ではない、ごく普通のサラリーマンです。同棲もしていました。私は吉原で稼いだ金のほとんどをタンス預金していたのですが、あるとき帰宅したら、タンス預金どころか家具も丸ごとなくなっていて。本当に呆然とするしかありませんでした。
――男性の失敗というか、怖い話な気もしますが……前兆のようなものもなかった。
夢二:ないです、まったくない。別れ話に向かっていたとか、ギクシャクしたとかもないです。別にいいのですが、持ち逃げされたお金だけで、家が建つような金額です。
――吉原No.1ともなると相当稼いでそうですよね。
夢二:最高月収は600万円くらいだと思います。ちなみに、きちんと毎年確定申告をしていたので、かなり税金で取られてしまいますが……それでも結婚まで考えていた男性に取られるとは思いませんでした。
――ショックでしょうね。
夢二:ショックですよ。それで、預金に残っていたお金を使って、世界一周の旅に出ることにしたんです。予算の少ない貧乏旅行なので、その場で男性と恋に落ちてしばらく一緒にいて、また別の国に行って……みたいな。
――日本人女性はモテると聞きますよね。
夢二:モテると思いますが、それは「おしとやかで、尽くしてくれる、献身的な女性」というステレオタイプなイメージがあるからだと思います。そういう女性であることを求められているなぁと思う場面がたくさんありました。

