◆今となっては「母に対する恨みはない」

夢二:これは家庭環境からくるものだと思うのですが、愛着障害を患っていて。求めていただけると、逆に居心地が悪くなってしまうんですよね。申し訳なくなってしまうというか。それで、現在は大阪のクラブブレンダという店で新人の気持ちになってまた接客を勉強しているところです。
――一昨年他界されたお母様に対する思いはどのように変化しましたか。
夢二:母が私を産んだとき、17~18歳だったと思います。母はきっと、母になりきれず女性で居続けたかった人なんだなと。私もこの年になって、母の気持ちが少しだけわかるんです。私が惹かれる男性は、「この人、きっと私がいなきゃ駄目なんだろうな」と思える、可愛げのある男性なんですよね。
母は酔っ払って車道に乗り出したところを車に撥ねられて亡くなりました。昔は母が許せなかったけど、亡くなった今、母に対する感情は完全な無なんですよね。悲しいとかさみしいとかもなく、恨みもありません。
――夢二さんはこれから新しい挑戦もしていくのだとか。
夢二:そうなんですよ。私は自分にあまりお金を使わなくて、ブランド品も買わないし洋服もほとんどジャージで2着で使いまわしているような状況なのですが、動画配信をしようと思ってきちんとした機材を買いました。これから、配信者としても生きていけたらと思っています。
また、妹と弟にとっては私が親代わりのようなものなので、これからも稼いで支えていきたいなと考えています。私が思う存分謳歌できなかった青春を満喫させてあげるのが私の夢です。
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夢二さんは、なかば“自傷行為”のような吉原勤務によって、人間を信頼する心を取り戻した。亡き母への思いがまったくないというのは、極めてリアルで的を射た感想だろう。傷ついた気持ちを癒す過程で、誰かのために生きることが最良の薬になることがある。精神が摩耗し擦り切れないよう、日々を噛み締めて歩んでほしい。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

