借金の返済が難しくなった時、「自己破産」という言葉が頭によぎる方もいらっしゃるかもしれません。ただし、借金問題の解決方法は自己破産だけではありません。債務状況や生活状況によっては、「任意整理」「特定調停」「個人再生」など別の方法が適している場合もあります。
あわせて、問題を抱え込まず早めに生活を立て直して、今後のライフプランの見通しを立てることも必要です。ここでは、借金問題を整理するための主な方法について、それぞれの特徴や違い、相談窓口を確認していきましょう。
破産手続きとは?
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破産手続きの流れ
破産手続き、つまり、一般に言う「自己破産」は、裁判所を通して行う法的な債務整理の方法のひとつです。借金などの返済が不可能な状態であると裁判所が認めた場合に、一定の手続きを経て「免責」が決定されると、原則として借金の支払い義務が免除されます。
これは生活の立て直しを目的とした制度で、日本では法律に基づく救済制度として位置づけられています。
自己破産は、一般に次のような流れで進めます。
1.弁護士など専門家へ相談・依頼
弁護士などの専門家に相談し、破産手続きの依頼をします。
2.債権者への受任通知の送付
弁護士は債権者に債務者の代理人であることを通知します。これにより債務者本人への直接の催促が止まり、その後はすべて弁護士が窓口となります。
3.裁判所へ破産の申立て
「破産手続開始決定申立書」などを裁判所に提出します。
4.裁判所による審査・破産手続きの開始
・財産が少額の場合・・「同時廃止事件」として、破産手続き開始と同時に終了します。
・一定の財産がある場合・・「管財事件」として、破産管財人が財産の調査や処分、債権者へ配当をし、破産手続きが終了します。
5.免責許可の申立て、免責決定
破産手続きが終了し、裁判所が免責を許可すると、借金の支払い義務が免除されます。
破産手続きのメリットとデメリット
主なメリットは次の通りです。
取り立てが停止し借金が原則として免除されるため、返済の重圧から解放され生活再建を目指すことが可能になります。借金がどれだけ大きく膨らみ返済の見通しが立たなくなった場合でも、生活を立て直す機会を得られることは大きなメリットと言えるでしょう。
一方で、以下のような点に注意が必要です。
自己破産をしても、税金や社会保険料の滞納分、養育費の支払いなどは免責されないため、引き続き支払いが必要です。
また、20万円以上の価値があるものは換価され、債権者に配当されます。解約返戻金がある生命保険も換価されるため、死亡保障などの備えが無くなってしまいます。ただし、対象となるのは解約返戻金がある保険のみのため、掛け捨てタイプの保険は対象外です。
さらに、破産手続き中は、一部の職種において仕事が制限されることがあります。警備員や宅建士、税理士などは資格制限があり、一時的に資格が取り消されます。そのため、復権するまでは当該の仕事に就くことができません。保険外交員などは登録を取り消される可能性もあります。
また、破産した後は、信用情報機関のいわゆるブラックリストに登録されるため5~10年ほどの期間は借入やクレジットカードの作成が難しくなる点も知っておきましょう。
次の章では自己破産以外の債務整理方法について、減額幅の大きな順に3つ紹介します。
個人再生とは?
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個人再生の手続き概要と目的
個人再生とは、裁判所を通じて借金を大幅に減額し、その減額された借金を原則3~5年で分割返済していく法的な債務整理の方法です。民事再生法に基づく制度で、生活の立て直しを目的としています。
自己破産のように借金がすべて免除されるわけではありませんが、借金を大きく圧縮できる可能性があります。また、一定の条件を満たせば、住宅ローンが残っていても自宅を手放さずに手続きを進められる場合もあります。
自己破産と比較した際のメリット・デメリット
メリットとしては、借金を大幅に減額できる可能性が挙げられます。また、住宅などの財産を維持しながら生活を立て直すこともできます。自己破産のような職業制限もありません。
ただし、返済を確実にしていくために継続的な収入が必要な点は留意が必要です。また、手続きが比較的複雑であることや、信用情報機関に5~10年ほど登録されてしまうことはデメリットと言えます。
自己破産は借金の返済義務の免責を目的とする制度なのに対し、個人再生は借金を減額した上で返済を続ける制度です。どちらが適しているかは借金の状況や収入などによって異なるため、専門家に相談しながら選択することが重要です。