多様化する老後の生き方
39年間、協力して一つの家庭を運営してきたことへの感謝はありましたが、それを「死が2人を分かつまで」続ける義務感は、2人のあいだにはもう残っていませんでした。
現在、2人は別々の街で暮らし、それぞれの時間を過ごしています。マンションを売却した資金と退職金を手に、タカミチさんは静かな郊外へ。チヅルさんは利便性の高い都心の小規模なマンションへ。離婚後、時折連絡を取り合ってランチをすることもあります。
かつての夫婦関係よりも、いまのほうが「相手の健康を純粋に願える」と2人は口を揃えます。不満がないからこそ、別れる。5,200万円という潤沢な資金は、彼らにとって老後の安心ではなく、「1人の人間に戻るためのコスト」として、最も有効に活用されたのかもしれません。
