自身も初の移住なのに「移住支援」担当に!? 手探りで始まった日々
いちき串木野市の地域おこし協力隊として着任した小林さん。 与えられたミッションは、なんと”移住支援”でした。
ーー実は僕、移住というジャンルに全然興味がなかったんですよね。笑
無理もありません。自分自身が人生初の移住をスタートさせたばかりで、右も左もわからない状態。そんな「移住ホヤホヤ」のタイミングで、まさかの「移住者のサポート」をお願いされるという、ちょっぴり不思議な逆転現象が起きていたのです。
「俺の支援は誰がしてくれるんだって、最初は本気で思いましたよ。」
右も左もわからないまま、とりあえず着手したのが移住パンフレット作り。 市の人口、面積、気候、病院の数……。町中を歩き回って情報を集め、予算がないのでデザインも自ら手がけました。
でも、作っていくうちに一つの疑問が湧いてきます。
ーー移住パンフレットって、そこに行って『何が楽しいか』が載っていないことが多いんですよね。補助金や移住の情報より先に、現地での楽しみが載っていた方が絶対に伝わりやすいはず。
情報より先に、ワクワクする楽しさを届ける。 この時の気づきが、現在の小林さんの「編集」の大きな軸になっていきます。協力隊1年目にはフリーペーパーづくりのワークショップに参加し、冊子ができるまでの流れを体感。

協力隊1年目に参加した編集ワークショップ
そして2年目、市をPRするフリーペーパー「ALUHI(アルヒ)」の制作に本格的に乗り出します。 時には関係者と意見がぶつかり、葛藤を抱えることも。でも、そのモヤモヤも情熱に変換して、制作に没頭しました。
完成した「ALUHI」は、「日本タウン誌・フリーペーパー大賞2018」でReaderStore賞最優秀賞と自治体PR部門優秀賞をダブル受賞。いちき串木野の魅力が詰まった一冊は、全国から高く評価されることになったのです。

ALUHI#02「つけあげが生まれたまち」
「友だちを作ろう」と自ら動き始めたことで、変わり始めた景色
冊子の成功もさることながら、孤独だった小林さんを本当に救ったのは「友だち作り」でした。
着任して間もない頃。小林さんは市役所に「このままだと、3年後に山梨に帰ります。」と正直な思いを打ち明けました。すると市役所側も、「協力隊が終わった後もいちき串木野に残ってほしい。残ってもらえるような活動をしてください。」と真正面から返してくれたのです。
そこから、小林さんは動き始めます。他のまちで活動する協力隊に会いに行ったり、楽しそうなイベントに積極的に顔を出したり。商店街の服部さんに「地域のキーマンは誰ですか?」と尋ねて紹介してもらったご縁がきっかけで、イベントに出店をしたり。
少しずつ、確実に人の輪が広がっていきました。

東京の移住フェアで珈琲を淹れてふるまう小林さん
出会った人が、また別の人を繋いでくれる。「最近来た協力隊はあなたか!」と、気さくに声をかけてくれる地域のおじさんたち。
ーー鹿児島で出会った皆さんに、生かされています。
10年経った今も、小林さんはしみじみとそう語ります。

