そこで、すこし日本にゆかりのある外国人に「日本の印象」を聞くことで、我々が忘れかけていた日本の素晴らしさに改めて気づくことができるかもしれません。

彼にとって、初めての海外が日本だったといいます。初来日は2010年。以来22回、合計326日を日本で過ごしました。今回はそんなリッチさんに日本の印象を伺いました。
◆40歳を過ぎて初の海外が「日本」
「40歳を過ぎるまで、一度も北米を出たことがなかったんです」そう笑うリッチさんにとって、初めての海外が日本でした。仕事で、世界的な写真配信会社Getty Imagesの撮影プロジェクトに参加することになり、東京を訪れたそうです。
「空港に着いたときは、ただ圧倒されました。“本当に日本に来たんだ”と、自分でもすこし信じられなかったですね」
アラスカ州で育ち、その後はアメリカ各地を移り住んできたものの、海を越えた経験はなかったリッチさん。遠い国として見ていた日本に、自分が実際に立っている。その事実が、すぐには現実として追いつかなかったといいます。
「うれしさもありましたし、緊張もありました。とにかくすべてが新鮮でした」

◆東京で味わった“読めない不安”

当時のリッチさんは日本語がまったく読めませんでした。当時はスマートフォンもなく、翻訳アプリも一般的ではない時代です。駅名や案内表示を見ても分からず、目的地へ向かうだけでも緊張したといいます。
「40歳を過ぎて、あんなに無力な気分になるとは思いませんでした」
一方で、東京の街並みにはすぐに惹かれたそうです。街は整い、清潔で、人々は落ち着いている。大都市でありながら、どこか秩序があったと振り返ります。
さらに、交通の便利さにも驚いたといいます。
「電車移動が本当に便利なんです。駅で待ち合わせれば、すぐ会える。車社会のアメリカとは感覚が違います」
アメリカでは都市のつくりそのものが広く、通勤や買い物、日常の移動も車が前提になっている地域が少なくありません。そのため、駅を起点に人が集まる東京の感覚は新鮮だったようです。
さらに印象に残っているのが、夜道の光景でした。
「すこし暗い通りを、若い女性がひとりで普通に歩いていたんです。アメリカの大都市では、あまり見ない光景でした」
治安の良さを感じた瞬間だったそうです。アメリカでは地域差こそありますが、夜間は一通りの少ない場所を避けたり、車で移動したりと、防犯を意識する人が多いのです。

