ハウスクリーニング費用の負担は?
このタネの争いは、賃貸人が賃貸契約当初に、賃貸人に有利な契約を押し付け、それを裁判で争われてきたという経緯もあり、賃借人側の費用負担を増す契約はおおむね、
- 合理的な内容である
- 賃借人が認識している
- 明確な合意である
という、3つの要件をクリアしてはじめて認められます。すなわち、明らかに契約上の立場の強さをもとに賃借人に押し付けた不合理な内容であれば、裁判所は無効と認定してきたわけです。
さて、ではハウスクリーニング費用はどう考えるべきでしょうか。これについては、裁判例があり「明渡し時に専門業者のハウスクリーニング代を賃借人が負担する」という条項について、契約書に明記して、内容も一義的に明らかなので有効とされています(東京地方裁判所平成21年5月21日判決)。
近年の契約書では、単にハウスクリーニング費用を負担するにとどまらず、より明確に、5万円前後ぐらいの金額を固定して記載していることが多いかと思います。
「原状回復トラブル」が発生しても慌てずに適切な対処を
さて、具体例も交えてみましたので、賃借人の費用負担か、賃貸人の費用負担かについて、どのように考えるかイメージがわいてきたのではないでしょうか。仮にトラブルになった際には、理屈上認められる金額よりも、トラブルの早期解決のために譲歩することもあるかもしれませんが、大きな方向性としては上記のように考えて対処していきましょう。
また、最初にお断りしたように、今回の記事は、「一般的な賃貸アパート」の契約についてです。店舗や事務所などのいわゆる事業用物件ですと、上記のような内容と異なり「本当に当初借りた状態に戻す意味での原状回復義務」「スケルトン返し」などという契約も有効であり、むしろこちらのほうがスタンダードですので、事業用物件の場合には異なるルールとなるのでご注意ください。
山村 暢彦
山村法律事務所
弁護士
