◆指示役らへの“いびつな親近感”

指示役には固定の3人が、ランダムに当てがわれる。「久しぶりに僕の担当ですね」なんて気さくに声をかけられたこともあった。無茶な時間指定にも必死に走って間に合わせると「助かりましたよ」と労われた。「今度飲み会があるから、そこでみんなに紹介しますよ」と言われたこともあり、親しみすら感じていた。
顔も合わせない“職場”。だが、そこはいつしか彼の居場所になっていたのかもしれない。
◆初犯で懲役6年の実刑判決。代償はあまりに重い
潮目が変わったのは、親しい友人に仕事の内容を話したときだった。「それ、受け子じゃないか」と指摘され、初めて離脱を考えた。次の仕事は体調不良と嘘をついて欠勤し、連絡を無視し続けた。その間も脅しや追及を受けることは一切なく、数日後、高林氏は逮捕された。現在の心境を問うと、被害者への申し訳なさと後悔を口にする。しかし、自分を使い捨てた指示役らへの怒りは、今も湧いてこないという。
「信じていた人に裏切られた悲しみのほうが強い。願わくば彼らも更生してほしいです」
後日、法廷で高林氏が言い渡されたのは、懲役6年の実刑判決だった。

