◆空いていたら座席に荷物を置いていいのか

「子供の前で大人が大声で怒鳴りあうような事態にならなくてよかったです。第一、自由席であれだけ混んでいるのに荷物用に席を占領するのはマナー違反。男性は褒められたやり方ではなかったかもしれませんが、声をかけられても無視して最後は逆ギレする女性の非常識さも問題です。ただ、個人的には男性に心の中で『よくやった!』と拍手を送っていましたけどね(笑)」
大前提として座席は、荷物置き場ではなく乗客が座るもの。混雑状況に関係なく普段から荷物は座席の上に置かないように心がけるべきかもしれない。
◆■ 3割以上の人が憤る「座席を詰めない」という不作為
今回、田島さんが遭遇した「バッグによる座席占領」。男性が強硬手段に出た背景には、単なる個人の怒りだけでなく、鉄道を利用する多くの人々が長年抱き続けている“最大の不満”がありました。日本民営鉄道協会による過去3年間の調査を比較すると、「座席の座り方」は常に迷惑行為のトップクラスに君臨し続けています。
【迷惑行為総合ランキング:座席の座り方】
2023年度:1位(37.1%)
2024年度:2位(31.9%)
2025年度:2位(31.9%)
(出典:日本民営鉄道協会「2025年度・2024年度・2023年度 駅と電車内のマナーに関する調査」)
感染症への警戒感が強かった時期を除けば、座席マナーへの不満は常にワースト級の順位で高止まりしています。さらにその内訳を詳しく見ると、今回のトラブルの核心が浮き彫りになります。
【座席を詰めない・荷物を置くへの不満推移】
2023年度:43.3%
2024年度:35.1%
2025年度:31.9%
「荷物を置く」などの行為を最も迷惑だと感じる人は、直近の2025年度こそ31.9%となっていますが、2023年度には43.3%と半数近くに達していました。数字上はわずかに減少傾向にあるものの、依然として3割以上の乗客が「最も許せない行為」として挙げている事実は重いものです。
また、同調査の「マナーの改善傾向」という項目では、「以前に比べて悪化した・やや悪化した」と答える人の合計が、2023年度の33.1%から2024年度には47.4%へと急増しています。
多くの人が新幹線を利用し、誰もが目的地まで座りたいと願う中で、周囲を無視してスペースを独占する行為への視線は、かつてないほど厳しくなっていると言えるでしょう。
男性が放った「自由席なのに席占領してんじゃねーよ」という一喝は、決して褒められた口調ではありません。しかし、声をかけられても無視を決め込み、公共のスペースを私物化する行為が、どれほど周囲のストレスを増幅させているか。その現実を、最新の数字は冷徹に物語っています。
「自分一人くらい」「空いているから」という無意識の甘えが、隣の誰かの平穏を奪ってしまうこともある。混雑する新幹線の車内だからこそ、ほんの少しの想像力が、自分も周囲も気持ちよく過ごすための鍵になるのかもしれません。
<TEXT/トシタカマサ 再構成/日刊SPA!編集部>
―[乗り物で腹が立った話]―
【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。

