◆「今日は何もしない」待ちに待ったGWの朝に…

数日前から心に決めていたことがある。「初日は絶対に何もしない」。昼まで眠り、目が覚めたら観たかったドラマをNetflixで一日中楽しむ——そんなささやかで完璧な計画だった。
ところが、その計画は思わぬ形で崩れることになる。
アラームに叩き起こされない幸せをかみしめながら眠っていた石井さんの意識を覚醒させたのは、LINEの通知音だった。二度寝を試みるも、通知は鳴りやまない。気になってしまい、仕方なく画面を確認すると、そこには地元の友人からの「おーい」というメッセージとスタンプの連投があった。
「嫌な予感はしつつも、『なに~?どうしたの』と返信しました」と石井さんは振り返る。
◆身勝手な友人が「今、そっち向かってるの!」
返ってきたメッセージは、石井さんの平和な一日を根底から揺るがすものだった。「今なにしてる? 寝てた?」「今日一日暇な感じ?」
石井さんは「暇じゃないよ、ネトフリ見ようと思ってた」と一人で過ごしたい意思を伝えたつもりだった。しかし友人には伝わらなかった。
「そっち行くんだけど、遊ぼうよ」
友人は地元に住んでいるはずである。混乱した石井さんが「え? いま地元住んでるでしょ?」と聞き返すと、「そうだけど、いまそっち向かってるの!(笑)」という返答が届いた。さらに追い打ちをかけるように、「朝、彼氏とそっち行きたいねって話してて。なんか流れで行くことになった(爆笑)」というメッセージと、車内で撮影した彼女とその彼氏の自撮り写真まで送られてきた。
じつは、その友人は、幼なじみである石井さんの目には「自己中心的で身勝手な人」と映っている。しかし地元では「明るくて親しみやすい性格の人」として知られており、容姿の良さも相まって友人・知人が多い人気者だ。連れてくるという彼氏もまた地元では有名な存在で、見た目に怖さや威圧感を感じさせる雰囲気を持ちながら、なんだかんだと周りに人を引き連れるタイプだという。

