◆少女が“存在しない子”となった衝撃の経緯

翻って、この事件は「社会の責任」も浮き彫りにした。
玲奈さんの出生届が提出された八尾市は、居住実態が認められないとして、住民基本台帳から職権で抹消されていた。わずか3歳で、行政上の“存在しない子”とされていたのだ。
住民基本台帳法に基づいた手続きだが、抹消されると、自治体からは健康診断や公立小学校の就学通知などの行政サービス全般が受けられなくなる。
当初は「大好きな姪だ」と感じていた飯森被告。玲奈さんが置かれた状況を案じて「市役所に相談しよう」とも考えたが、結局しなかった。
「相談するところがわからなかったので。父親に(相談するように)言ったことはありました。まとめて一回聞いてくれると約束してくれたんですけど、結局聞くことはありませんでした」
◆飯森被告は「家」という漢字すら書けなかった?
さらに、飯森被告は中学校を卒業しているものの、ほとんど登校しなかったとのこと。それが相談できなかった一因でもあると話す。「自分は学がないので、字を書いたりするのが苦手で……。(届出などの)手続きするのが苦手という面がありました」
実際、裁判中に法廷のモニターに、飯森被告が手書きした地図が映し出されたが、「家」という簡単な漢字すら書けないのか「○○のいえ」と記載されていたほどだった。
ネグレクトに社会問題など、“負の連鎖”が交錯しつづけた事件。残忍な犯行は、どんな理由があろうと許されない。飯森被告は、最終陳述で「罪を償い、玲奈のことを思い忘れずに生きていきたいと思います」と更生の意欲をみせた。
文/学生傍聴人
【学生傍聴人】
傍聴歴7年、傍聴総数1000件超。 都内某私立大の大学院に在籍中の現役大学院生。趣味は御神輿を担ぐこと。高校生の頃から裁判傍聴をはじめ、有名事件から万引き事件など幅広く傍聴している。その他、裁判記録の閲覧や行政文書の開示請求も行なっている。

