お酒とコーヒー、どちらにも寄り添う「計算し尽くされたドルチェ」
バールとしての夜の顔を持つこの店で、服部さんが最も頭を悩ませ、そして情熱を注いだのが「コーヒーにもお酒にも合うバランス」です。お酒に合わせるなら塩味やスパイスが欲しいけれど、コーヒーに合わせるなら甘みが欲しい……。
「甘さは砂糖だけで表現するものではない」と語る服部さん。きび糖など数種類の砂糖を使い分け、牛乳やフルーツが持つ天然の甘みを丁寧に生かすことで、甘さを抑えつつも満足感のある、極上のトータルバランスを作り上げています。

「プリン・ハードボイルド」はその名の通り、むっちりと力強い食感が特徴の固めプリン。トッピングにはカラメル味の生クリーム、そして苦みを効かせたカラメルが全体を引き締めます。

お酒との相性を高めるために忍ばせた「グランマルニエ(オレンジリキュール)」。一口ごとに華やかな香りが広がる、まさに大人のためのプリンです。

「ティラミス・ダンディズム」は、Okaffeの代名詞とも言える深煎りブレンド「ダンディブレンド」を贅沢に使用した一品。スモーキーな香りとコクのある苦みが、とろとろのクリームと見事に調和しています。

そのテクスチャーの柔らかさから、ファンからは「飲めるティラミス」と称されることも。隠し味のマルサラ酒は、主張しすぎず、それでいてお酒の余韻を心地よく繋いでくれます。

定番のイタリアンドルチェに加え、季節ごとに服部さんが自由な発想で生み出す限定メニューも楽しみのひとつ。今回撮影させていただいたのは、イギリスの伝統菓子をアレンジした「いちごのイートンメス」です。

サクサクの軽いメレンゲに、軽やかなクリームとフレッシュな苺。メレンゲは甘くなりがちですが、ここではジンの香り付けに使われるスパイス「ジュニパーベリー」を混ぜ込むことで、驚くほどさっぱりとした後味に。 去年大好評だったメニューをさらにブラッシュアップしたというこの一皿は、甘いものが苦手な方でも、キリッと冷えたカクテルと共にスルスルと食べられてしまう魔法のようなスイーツです。
バリスタが作る、本気の「エスプレッソマティーニ」と自由なコーヒーの形
スイーツの余韻をさらに深めてくれるのが、岡田氏が自らカウンターで腕を振るうオリジナルカクテルです。なかでも注目は、バリスタとしての技術とカクテルの知識が融合した「エスプレッソマティーニ」。

ダブルのエスプレッソにウォッカを合わせ、オレンジの香りをふわりと纏わせた一杯。仕上げにエスプレッソ粉をトッピングすることで、コーヒーの持つ力強い苦味とフレッシュな香りがダイレクトに突き抜けます。「コーヒーを自由に楽しんでほしい」と語る岡田氏の言葉通り、そこには既存の枠に囚われない、新しさと驚きが詰まっていました。


「バールだからとお酒を飲まなければいけない、なんてことはありません。お昼から開いているので、コーヒー1杯だけを飲みに来てくださるのも大歓迎です」
そんな開かれたマインドも、このお店が多くの人に愛される理由のひとつ。お酒を愛する人も、コーヒーを愛する人も、同じカウンターで等しく至福の時間を共有できる。それこそが、岡田氏が目指した「街の動線が交差する」バールの真髄なのです。