古い長屋や住宅が並ぶノスタルジックな風景が残る街、中津。静かな通りのマンション2階に、自分だけの秘密にしておきたくなるような一軒のカフェ「sumica PASTRIES&COFFEE(スミカ ペストリーズアンドコーヒー)」があります。
ここは、全品グルテンフリーの焼き菓子店です。これまでの「制限スイーツ」のイメージを鮮やかに覆す、驚きの美味しさに満ちています。
窓の外の穏やかな景色と共に味わう、優しいお菓子とコーヒー。忙しい日常の足を止めて、心と体をそっと休ませてくれるカフェの魅力をご紹介します。

都会の喧騒を忘れる、中津の路地裏の“棲み家”
大阪の巨大ターミナル・梅田から一駅。住所こそ「北区」ですが、中津駅を降りて路地へ入ると、そこには驚くほど静かでノスタルジックな風景が広がっています。古い長屋や住宅が並ぶ、どこか懐かしい街並み。

そんな住宅街の中に佇むマンションの2階に、「sumica PASTRIES&COFFEE」はあります。
少し急な階段を上がって扉を開けると、そこはこじんまりとした温かな空間。窓からは、中津の穏やかな日常を少し高い場所から眺めることができ、より一層「自分だけの隠れ家」にこもっているような安心感に包まれます。

1組2名以下というルールが守られた静かな店内で、風景をぼーっと眺めながら過ごす時間は、忙しい日常からふっと自分を解放してくれるようです。
そんなお店の店主・角亜紀子(すみ あきこ)さんは、さまざまなカフェやコーヒースタンドでパティシエ・バリスタとして腕を磨いてきた、飲食業界20年のキャリアを持つプロフェッショナル。

転機が訪れたのは、ご友人のカフェを手伝っていた時のこと。海外からのお客さまも多いその店で、「プラントベースやグルテンフリーの焼き菓子を作ってほしい」という相談を受けたのが、米粉を使ったお菓子作りの始まりでした。
それまでは「独立」という考えは特になかったという角さん。しかし、2020年からのコロナ禍が働く価値観を大きく変えました。「雇われたままで大丈夫なのかな」と自分自身のこれからの生き方を見つめ直した時、客足が落ち着いたカフェでの時間を活かし、本格的にグルテンフリーのお菓子作りと向き合い始めます。

試行錯誤を重ねて辿り着いたお菓子は評判を呼び、まずは「sumi菓」という屋号で間借り営業をスタート。そして2022年、誰もが読みやすいようにと名前を「sumica」に改め、ここ中津に実店舗を構えました。
「体質的に食べられない人」に寄り添う、全品グルテンフリーのこだわり
「sumica」のお菓子は、すべてグルテンフリー。小麦粉の代わりに米粉が使われています。

「ヴィーガンは生き方や価値観。でも、グルテンフリーはアレルギーなどで『体質的に食べられない』という切実な事情がある方が多いんです。だから、誰もが安心して食べられるようにと考えると、私はグルテンフリーを一番大切にしたかった」と角さんは語ります。
当初は米粉の性質を掴むのに苦労したそうですが、米粉の扱いに長けた方との出会いによって、製菓に最適な米粉とその性質をレクチャーしてもらう機会を得ました。

「性質さえわかってしまえば、あとは配合を調整するだけですから」と笑う角さんですが、そこには20年の経験が息づいています。卵や乳製品を使わないヴィーガン対応(プラントベース)のお菓子も一部取り入れつつ、何よりも「普通のお菓子に負けないくらいの美味しさ」に仕上げることを妥協しませんでした。