値動きが少ない資産「アンティーク・コイン」…ただし相続に向かない“ガラクタ”も
一方、コインはどうでしょう。そもそもコインは値動きの緩やかな金融商品ですし、仮に値が動いていたところで相続人がその相場を知ることは難しいでしょう。コインの相場を最も簡単に知る方法はオークションの落札価格ですが、一般の方がそのような情報に接する機会はまずありません。
つまり相続人にとって、相続したコインは値動きがない資産に見えるものなのです。
このようなコインの特性によって、相続を受ける側の心理的負担が減ります。過去を振り返れば、人間がコインを収集しはじめたのは古代ギリシャ・ローマ時代だそうで、特に、ヨーロッパの貴族や富裕層は、収集したコインを代々引き継いできたと聞きます。
紙の資産と違い、長期にわたって価値が保全され、なおかつ保管に際し場所を取らない点などで、コインはよほど相続に適した資産だったからでしょう。コインのこの特性は現在でも色褪せていません。
ただし、コインなら何でもOKというわけにはいきません。私自身も経験してきたことですが、あまりお金に余裕のない若いころは、たとえば数千円の古銭などを随分と買ったものです。
歳を重ねて相続を意識するにしたがって、このような安価なコインは相続に向かないことを知りました。なにより数が多くなってしまいますので保管や管理が大変ですし、これは相続や贈与される側にとって決してありがたい話ではありません。それでも受け取ったコインが価値のあるのものなら、多少管理が面倒でも問題はありません。
ところが、もし受け取ったコインが価値の低いものだったらどうでしょう。1枚数千円程度のコインを何十枚、場合によっては何百枚もらっても、決してありがたくはなく、せいぜい「おじいちゃんはなんでこんなガラクタを持っていたんだ」と迷惑がられるのが落ちでしょう。最悪の場合、廃品として回収に出されてしまうかもしれません。
そんな悲しいことにならないように、相続を意識してコインを収集することをお勧めします。
田中 徹郎
株式会社銀座なみきFP事務所
代表/FP
