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カリブ海の“金融ブラックホール”、ケイマン諸島とバハマ――税制優遇だけではない、世界中の投資家に選ばれる「本当の理由」とは【国際税務の専門家が解説】

カリブ海の“金融ブラックホール”、ケイマン諸島とバハマ――税制優遇だけではない、世界中の投資家に選ばれる「本当の理由」とは【国際税務の専門家が解説】

ケイマン諸島の概要

ケイマン諸島はキューバの南に位置し、人口は約7万3000人(2023年時点)。観光業が盛んで、アメリカからのクルーズ船も頻繁に訪れます。ケイマン諸島がタックスヘイブンとして成功している背景には、以下のような要因が挙げられます。

ケイマン諸島の成功要因

◆企業登録数の多さ

登録企業数は8万社を超え、9000以上の投資ファンド、760のキャプティブ保険(自社専用の保険会社)が存在します。会社設立費用は600ドル(別途、設立業務手数料が必要)です。

◆アメリカとの経済的関係

2006年末時点の米財務省資料によれば、アメリカ人投資家は約3760億ドル(約37兆6000億円)のケイマン法人株式を保有。また2007年9月時点で、アメリカの銀行によるケイマン諸島からの借入金は1兆5000億ドル(約150兆円)。これは外国で最高額です。

アメリカの銀行のケイマン諸島への貸付金は9400億ドル(約94兆円)と、イギリスに次ぐ世界第2位でした。

◆安定した法制度

国際基準に準拠した法律体系を整備しており、2018年には会社法が改正され、最新の金融取引に対応しています。

◆租税情報交換協定※の締結

アメリカとの租税情報交換協定(TIEA、2001年締結、2006年発効)により、脱税対策と情報交換体制が確立しています。

※ 租税情報交換協定:各国の税務当局同士が、税務に関する情報を相互に提供し合うための国際的な協定。

◆対外直接投資の増加

ケイマン諸島の2021年における対外直接投資の純流入額は、9億8491万ドルでした(世界銀行統計)。一方、2020年に日本からケイマン諸島への直接投資額は、61億6400万ドルに達しています。

このように日本の投資額が大きく上回っているのは、ケイマン諸島が投資の中継地として利用されるケースが多いためです。日本企業がケイマンに設立したファンドや特別目的会社(SPC)を通じて、実際には他国へ投資している場合でも、統計上は「対ケイマン投資」として記録されるため、名目上の金額が大きくなる傾向があります。

◆香港などアジアとの連携

香港の上場企業のうち、7割以上がケイマン諸島、バミューダ、英領バージン諸島(BVI)などを利用しています。

◆柔軟な信託制度

慈善信託の名目で、実質的に受益者不在の目的信託が合法化されています。委託者の裁量が発揮できる形態が認められています。

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