
マンションの価値を左右するのは、立地や建物のスペックだけではありません。実はもう一つ、住み心地と将来の資産価値を大きく左右するポイントがあって……。せっかく買ったのに本末転倒の事態に陥る可能性があることをご存じでしょうか。本稿では、6,000万円の中古マンションを購入した中井夫婦の事例とともに、マンション購入時にはみえづらい落とし穴について、マンション管理組合で理事長を務めた森逸行氏が解説します。
マンションで迎えた初めてのゴールデンウィークに“異変”
「やっと落ち着いたね。ここでの生活、楽しみだね」
中井さん夫婦(仮名/ともに38歳)は世帯年収1,120万円。2人ともフルタイムで働く共働き世帯です。今年の初めに、都内へのアクセスがよく、子育て環境としても人気の東京郊外エリアに、念願のマイホームを購入しました。物件は6,000万円の中古マンション。夫婦でペアローンを組み、新生活をスタートさせました。そして迎えた、マンションで過ごす初めてのゴールデンウィーク。繁忙期、年度末を経てバタバタななか、少しずつ部屋を整えていき、「やっと一息つける」――そんな穏やかな時間になるはずでした。
しかし、そのゴールデンウィークに“ある異変”が起きます。
「あれ?管理人さんは?」突然の不在
ゴールデンウィーク初日、中井さんは小さな違和感を覚えました。
掲示板が更新されていないのです。そして、ゴミ置き場がいつもより少し荒れています。管理人室を覗いてみても、明かりがついていません。普段は当たり前に整っていた環境に、わずかな“ズレ”が生じていたのです。そして気づきます。
「あれ? 管理人さんがいない……?」
このマンションでは、平日と土日も管理人が常駐し、清掃や点検、住民対応を行っていました。しかし、ゴールデンウィーク期間中――管理人は不在。代替要員の配置もなく、事実上管理人の不在で“管理が止まった状態”になっていました。
一気に表面化した「管理の穴」
その影響は、連休中、あっという間に表面化していきました。
・ゴミ出しルールが守られず、散乱
・共用部の清掃や各種の手続きが滞る
・宅配ボックスのトラブルが放置される
・防犯面への不安が高まる
「いままで当たり前だったことが、急に崩れた感じでした」と中井さんはいいます。管理人の存在は“目立たない”ものですが、いなくなると、その重要性が浮き彫りになります。
