背景にある「人手不足」という現実
なぜこのような事態が起きたのでしょうか。背景にあるのは、深刻な人手不足です。マンション管理業界では、
・管理員の高齢化
・担い手不足
・人件費の問題
などが重なり、安定的な人材確保が難しくなっています。特にゴールデンウィークのような長期休暇では、代替人員の確保ができず、今回のようなケースが発生することも珍しくありません。
「管理会社に任せているから安心」は通用しない
中井さん夫婦も、購入時には「管理会社が入っているから安心」と考えていました。しかし現実は違ったのです。管理会社もまた、人手不足の影響を受けています。その結果、巡回頻度の低下や、対応の遅れ、管理の質やサービス品質のばらつきといった問題が進行しています。これは、「任せている=安心」ではない時代に入ったといえるでしょう。
マンション管理の質を左右するもの
筆者はこれまで、マンション管理組合理事長として現場に関わってきました。その経験から断言できるのは、管理の質は「人」で決まるということ。どれだけ大手の管理会社であっても、現場の人材が不足すれば、管理の質は確実に低下します。
放置すれば「資産価値」にも影響する
この問題は、単なる“生活の不便”では終わりません。長期的には、
・建物の劣化
・住民満足度の低下
・空室増加
といったリスクにつながります。つまり、管理の低下は資産価値の低下につながるのです。6,000万円という大きな買い物をした中井さん夫婦にとって、この問題は決して他人事ではありません。
これからのマンション選びで重要な視点
今回の事例が教えてくれるのは、「管理は当たり前に続くものではない」という現実です。これからは、管理会社の管理体制や管理員の配置状況、理事会の機能等を含めて確認することが重要になります。
ゴールデンウィークという短期間でも、管理人が不在になるだけで、マンションの環境は変わります。中井さんのマンションの例が示しているのは、マンションの価値は「立地や価格」だけでは決まらないということです。その裏側にある「管理の質」こそが、住み心地と資産価値を左右します。
「管理会社に任せているから安心」――そう考えている人こそ、一度立ち止まって考えてみてください。みえない部分で進行する“管理の劣化”に、いかに早く気づけるか。それが、これからのマンション選びにおいて、極めて重要なポイントになるでしょう。
森 逸行
ファイナンシャルトレーナーFP事務所
代表
