◆対策をしても実は「効果が薄い」ケースも
ところで、食中毒を防ぐためにスプレーで調理器具などのアルコール消毒を行っている人もいるだろう。しかし、寺井院長が言う所によると、これでも病原体を100%防げるわけではない。「スプレーする対象によってはアルコール消毒の効果が弱く、特にノロウイルス感染症などはアルコールが効きにくいことで知られています。『アルコール消毒さえしていれば大丈夫』という思い込みは危険です。手洗いの徹底など、地味ながらも他の病気予防としっかり組み合わせましょう」
また、食材にはそれぞれ消費期限が設定されている。過度に時間が経った食品での食中毒リスクを減らすうえで大事な目安だが、かといって消費期限内であれば大丈夫とも限らない。
「表示されている期限は、適切な保存状態が保たれている状況が前提です。持ち歩きや常温放置をしていた場合、その前提は崩れてしまいます。購入後は速やかに冷蔵し、持ち歩きが長い日は保冷剤・保冷バッグを使いましょう。開封後は期限に関わらず早めに消費してください」
また、病原体を滅菌するうえで、しっかりと食材に火を通すことは確かに大切ではある。しかし、火を通しさえすれば問題なしと考えるのは早計だ。
「チャーハンやパスタのような火を通した食品も、意外と食中毒の原因としてよく知られています。原因となる菌は自然界に広く存在し、加熱後も芽胞の形で残る場合があり、作ったあと室温で放置すると増殖して毒素を作ります。『一度火を通しているから安心』とは言い切れません」
◆レジャーに潜む“菌増殖”のリスク
このほか、夏季のレジャーについて特に顕著となる食中毒リスクと、その対策も寺井院長に訊ねたところ、以下のとおりであった。(1) 山のハイキングやキャンプ
リスク:保冷不十分な食品を長時間持ち歩くと、食品の温度が上がって菌増殖しやすい。
対策:保冷剤・保冷バッグを活用し、調理後早めに食べるか、できるだけ現地調理。
(2) 海や川での釣り
リスク:釣った魚を常温で放置すると、鮮度が急速に低下。特に内臓には細菌が多く、時間経過とともに身にも影響が及ぶ。寄生虫(アニサキスなど)の可能性もあり、見た目だけで安全を判断できない。
対策:釣った直後すぐ締めて内臓を処理し、氷やクーラーボックスで速やかに冷却。生食は避け、十分に加熱。
(3) 野外でのBBQ、グランピング
リスク:生肉の加熱不足やトング・箸の使い回しによる交差汚染が起こりやすい。鶏肉であればカンピロバクター食中毒などの原因にも。
対策:生肉用と食べる用で器具を分ける/中心までしっかり加熱する。
(4) 屋外フェス、大規模イベントなど
リスク:ケータリングなどで購入後、すぐに食べず長時間持ち歩くと食品の温度管理が不十分に。手指の衛生状態も悪化しやすく、ノロウイルスの可能性も。
対策:購入後はできるだけ早く食べ、食前に手指消毒や手洗いを徹底。
ここまで紹介してきた内容を意識しておけば、食中毒に陥る可能性を大きく下げられるはずだ。参考にしていただければ幸いである。

