3.【2025年】医療法等の改正ポイント
医療法は、時代の変化に応じてこれまで度重なる改正がおこなわれてきました。2025年2月にも「医療法等の一部を改正する法律」が閣議決定され、2026〜2027年にかけて順次施行される予定です。

(1)地域医療構想の見直し
新たな地域医療構想を推進
団塊ジュニア世代が65歳以上になる2040年を見据えて、医療提供体制の見直しがおこなわれます。具体的には、以下の内容が想定されています。
- 病床機能の分化・連携に加えて、外来医療・在宅医療・介護の連携をはかる
- 地域の実情ごとに、「治す医療」と「治し支える医療」を担う医療機関の役割分担を明確にし、医療機関の連携・再編・集約化を進める
オンライン診療に関する規定づくり
コロナ以降に普及したオンライン診療は、厚生労働省の指針が運営の基準となっているのが現状です。法的な位置付けが不明瞭なことから、指針が守られず問題視されるケースもありました。そこで、適切なオンライン診療を推進するために法律上で定義する予定です。
今回の改正により、オンライン診療をおこなう医療機関は届出が必要になります。これまでどおり、患者の自宅などからの受診は継続してできるほか、介護施設などからでも受診できるよう「オンライン診療受診施設」に関する規定が新たに設けられます。

美容医療の適正化
美容医療に関する相談件数は年間5,507件に上り、その他医療サービスへの相談件数4,026件*より多くなっています。これを受け、保健所による立入検査や指導プロセスの明確化、ガイドラインの策定、医療広告の取締り強化に加えて、美容医療を提供する機関に以下が義務付けられる予定です。
- 安全管理措置の実施状況、専門医資格の有無、相談窓口の設置状況について都道府県に報告し、一般公開をおこなう
- 診療記録の徹底
*全国消費生活情報ネットワークシステムに登録された相談件数
(2)医師の偏在を改善するための対策

医師の偏在状況を見ると、東北地方での不足が目立ちます。こうした格差を是正するために、医師を確保すべき地域を「重点医師偏在対策支援区域」として都道府県知事が指定できるようになります。これにより、指定された地域で開業支援などの取り組みを優先的に実施できるなど、医師不足・偏在の解消が期待されます。
また、外来をメインとする医療機関が多い地域で新たに診療所を開設する場合は、開業6ヶ月前の届出や、行政との協議の場に参加する必要があるほか、医師が不足している地域から要請が出せるようになり、実質的に新規開業が制限されます。
(3)医療DXの推進
デジタル技術を活用し、保健・医療・介護に関する情報を施設間ですばやく共有することで、従事者不足や業務の負担をカバーする仕組みが求められています。医療DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するために、以下の内容が法律に定められる予定です。
- 医療機関同士で、3文書(1.健康診断結果、2.診療情報提供書、3.退院時サマリー)と6情報(1.傷病名、2.薬剤アレルギー等、3.その他アレルギー等、4.感染症、5.救急や生活習慣病などの検査、6.処方)を電子的に共有できるように
- 感染症発生届を電子カルテ情報共有サービス経由で提出できるように
- これまで匿名で利用されてきた医療・介護関係の公的データベースを、仮名化して利用・提供できるように
- レセプトの収集・分析などをおこなっている社会保険診療報酬支払基金の経験やノウハウを医療DXの推進に活かすため、名称や法人目的、組織体制などを見直す
4.時代に応じた変化が大切
医療法は、医療機関の開設から運営、医療提供体制の整備に至るまで、施設のあり方に重きをおいた法律です。少子高齢化による医療受給バランスの変化を見越して、今後も必要な変化を遂げることが予想されます。質の高い医療やケアを提供するために、医療機関も時代に即した柔軟性を持つことが大切です。
参考
- e-Gov法令検索|医療法
- 厚生労働省|医療法等の一部を改正する法律案の閣議決定について

