脳トレ四択クイズ | Merkystyle
ビールで7時間火入れした豚肉を、ほぐしてパニーニに! パリで食べたいサンドイッチ。

ビールで7時間火入れした豚肉を、ほぐしてパニーニに! パリで食べたいサンドイッチ。

それで後日、早速ランチに出かけた。

すると、鴨肉は完全にほぐされ、レモンの塩漬けコンフィにオリーブ、ハリッサなどと和えて、ほぼペースト状になったものがチャバタに挟まれていた。パニーニメーカーでカリッと焼き上げ出てきたそれは、初めての味で、鴨のコンフィは好きだし気が向けば食べるのに、全然馴染みのないものに感じられた。でもその感覚は、体験したことがあった。昔、高校時代に友人の家で夕食をご馳走になったとき、カレーだったか肉じゃがだったか忘れたけれど、思いがけない具が入っていて(ちくわだったかなぁ)、初めて食べる料理くらいにはじめましての味に思えたのだ。友人のお母さんが「うちはよく入れるのよ」と言うのを聞いて、このおうちの味はこれなんだなぁと、心の中で、実は結構衝撃を受けたのを思い出す。ブッフ・ブルギニヨンも、豚肉のコンフィも、きっと『ジョニー・ドウィッチ』の味になってサンドイッチに挟まれているのだろうと思ったら、やっぱり食べてみたい。

日本だと挽き肉が売っているし、豚肉をほぐして使うという発想があまり日常的ではない気がするけれど、じっくり煮込んでほぐして使うなら、作り置きにとても良さそうだ。レパートリーも広がりそうで、私は、すぐにでも作りたい気持ちが高まっています。

豚肉のコンフィは、肩甲骨肉をビールで7時間ほど低温でじっくり火を入れ、ひと晩置いてほぐしたものを、白キャベツの千切りと一緒に、パニーニ形に成形したバンで挟んでいた。コンフィの言葉から想像するにこってりしていそうだけれど、肩甲骨肉は脂身がとても少なく、ほぐした段階でだいぶパサパサしているらしい。だから、マヨネーズを少しとチェダーチーズを加えて、全体を繋いでいる。それでもまったくくどさはなくて、むしろさっぱりした食べ心地だ。それには、コリアンダーと青唐辛子、ライム、ニンニクにオリーブオイルを注いで作るモジョ・ソースもひと役買っているのかもしれない。
あと、バンの歯応えの軽やかさも大きいだろう。ともかくとても食べやすくて、家でも作ってみたいと思った。ビールの煮込みって試してみたいとだいぶ長いこと思いながら(それで賞味期限を過ぎてしまったビールが我が家にはある)一度もやってみたことがないのだ。まとめて作っておけばいろいろ応用が利きそうだし、サンドイッチの具にするにも、ハムよりバリエーションができそうな気がする。家庭料理を元にした具材って、こういう転換がどんどん思いついて楽しいよなぁ。

これが本誌で紹介したタレッジョサンド。チーズとしてタレッジョを選んだのは、クリーミーかつ風味のしっかりしたものではなく、マイルドなものにしたかったからだそう。
タレッジョサンドのチーズ以外の具を合わせたもの。

ほとんどのサンドイッチが売り切れてしまっていた日に買った、タレッジョ(チーズ)のバゲットサンドもまた、単なるチーズサンドとは異なっていた。さっとゆがいたほうれん草に、エシャロットのコンポートとりんごを合わせており、くるみも少し。火を通した青菜のミネラルがぎゅっと詰まったような味と、果実の甘酸っぱさがマイルドなチーズに程よく絡み、ほっとして食べているうちに元気になるおいしさだった。白ワインのお供にも相性が良さそうだ。何より驚いたのは、具を挟んだバゲットをパニーニメーカーで焼くことだ。たしかに、とても香ばしくておいしい。

それにしても、バゲットをパニーニメーカーに置いて焼くのは、やっぱり斬新だと思う。
蓋をして焼くのに、意外にもバゲットは潰れない。バゲット、すごいな。

それでもこの店で人気なのは、煮込み料理やコンフィを元にした具のサンドイッチだという。時間をかけて作る料理の副産物は、やっぱりみんなにとっておいしいのだ。

『Johny Dwich』

1 rue Emilio Castelar 75012 なし 11:30~15:00(月〜金)、17:00~22:00(木〜土)日休 サンドイッチは5種類あってどれも9ユーロ。春になりテラス席が設置され、夜も営業開始。ワインとサンドイッチが楽しめる。

合わせて読みたい

  • FOOD 2021.12.1 正体不明!?「ブリオッシュ・ホッカイドー」の謎に迫る。
    『ア・コテ』のチーズサンド。真似をしたくなる、サンドイッチ Vol.11
  • FOOD 2026.4.2 出合えるかは運しだい!? ブリオッシュが驚くほどもっちり。パリのワインバー『パッセリーナ』の塩味マリトッツォ。

文筆家 川村 明子

パリ在住。本誌にて「パリのサンドイッチ調査隊」連載中。サンドイッチ探求はもはやライフワーク。著書に『パリのパン屋さん』(新潮社)、『日曜日は、プーレ・ロティ』(CCCメディアハウス)などがある。Instagramは@mlleakiko。Podcast「今日のおいしい」も随時更新。朝ごはんブログ再開しました。

Life with Flowers & Greens / 花と緑のある暮らし。&Premium No. 150

花や草木の息吹に心がほどける、気持ちのよい季節がやってきました。ふかふかの土を触り、みずみずしい若葉に触れ、ほころんだ花の香りを深く吸い込む。そんなとき私たちの心と体には、不思議と健やかな力が漲ってくるように感じます。大きな庭がなくてもいいのです。部屋にささやかな一輪の花を飾り、ベランダで小さな鉢植えを育ててみることから始めてみてください。そこにはたくさんの発見と喜び、そしてときにはその姿に「生き方」を教わるような体験までもがつまっています。今号の特集は「花と緑のある暮らし」。植物との心地よい日々を楽しむ10組の住まいや、フローリストに学ぶ花と器の組み合わせ、花を愛したアーティストたちの物語、プロの園芸家がすすめる道具、など、植物との暮らしを快適にするヒントが満載です。

andpremium.jp/book/premium-no-150

配信元: & Premium.jp

あなたにおすすめ