その中には戦力になるどころか、“始まる前に終わってしまう”ケースもあるようだ。
◆仕事内容の解像度が低い?新入社員

そう語るのは、千葉県在住の本間幸典さん(仮名・39歳)。大手産業機械メーカーの工場でIT系保守を担当する現場社員だ。彼が振り返るのは、2年前に入社してきた新入社員Aである。
「特別優秀というわけでもなければ、問題児という印象もない。やる気はありそうでしたが、最初に話したときに、少し違和感がありました。おそらく、“IT=パソコン作業”ってイメージを持っていたんじゃないかと思います。サーバーとか、データ処理とか、いわゆるオフィスワーク寄りの仕事を想像してたんじゃないですか。なので、仕事内容の解像度はかなり低かったと思います」
ちなみに、事前に仕事内容の説明も受けており、研修も受けていた。
工場のITは本間さんいわく、一般的なデスクワークとは少し異なる。パソコンは使うが、やっていることはデータ処理ではなく、画面の向こうにある“機械そのもの”を動かす仕事なのだ。
「イメージとしては、パソコンで“機械をリモコン操作する仕事”ですね。画面の中のデータをいじるだけじゃなくて、その操作で実際の機械が動くんです。パソコンを触っているようでいて、やってることは“現場を動かしてる”感じです」
クリックひとつ、数字ひとつで機械が動いたり止まったりする。当然、間違えればそのままトラブルにつながることもある。
◆新人のテンションがみるみる下がり…
「たとえば、製品に番号をつける作業があるんですけど、毎回長い数字を手で打っていたら絶対ミスるじゃないですか。だからパソコンからまとめて送るんです。一つひとつは単純なんですけど、間違いは許されない。そんな風に説明をしているうちに、Aの顔色が少しずつ変わっていったんです」Aのテンションがあからさまに下がっていくのを感じたという。
「Aは、“自分にできるのか?”って顔をしてました。もちろん、最初からできるなんて思ってないですし、いきなり全部やらせることなんてないんです。ちゃんと教える前提ですし、最初は見て覚えるところからなので。でも、工場ではとにかくミスが許されない。小さな入力ミスひとつで、機械が止まることもある。その説明をした途端、Aの頭の中で一気に難しく考えすぎたんだと思います」
新入社員であれば尚更、最初は簡単なことから覚えていけばいい。だがAは、“まだ何もやっていない段階”ですでに大きなプレッシャーを感じてしまったという。

