
こんにちは、奈良在住の編集者・ふなつあさこです。
日本の神道では「八百万(やおよろず)の神」といわれるように、非常に多くの神様がいはります。
十人十色ならぬ、八百万の神様それぞれに成立の背景が異なり、歴史を重ねるにつれてさまざまな形で崇敬を集めてきました。ですから、必ずしも、一柱(柱=神様を数える単位)の神様が、ひとつの性質やご利益を持ってはるとは限らないんです。
皆さんのお近くにも、天満宮や天神社といった神社がおありだと思いますが、そこに祀られている天神様は、もともとは歴史上の実在の人物・菅原道真(すがわらのみちざね)公です。天神様(=道真公)もまた、さまざまな側面をお持ちの神様です。
道真公をお祀りする代表的な神社が、京都市上京区にある北野天満宮です。その北野天満宮の宝物を中心に天神様に迫る特別展「北野天神」が、京都市・東山七条の京都国立博物館で開催中(〜6月14日・日)です。
日本最大級の絵巻、国宝「北野天神縁起絵巻(承久本)」をはじめ、またと観られない宝物の数々が出揃う特別展の模様をお届けします。
さらに、京都国立博物館からほど近くにある人気の鍛金製品専門店「鍛金工房 WESTSIDE33」も併せてご紹介します!
人から神へ── 菅原道真公がなぜ天神様に?

写真左から女優・月城かなとさん、北野天満宮・橘 重十九(しげとく)宮司、京都国立博物館・松本伸之館長、北野天神展担当の主任研究員・末兼俊彦さん
北野天神展の開会にあたって開催された内覧会には、北野天満宮の橘宮司や、展覧会広報大使を務める元・宝塚歌劇団月組トップスター、月城かなとさんも駆けつけました。月城さんは、宝塚時代の2023年に「応天の門」で菅原道真を演じています。

重要文化財「天神坐像」鎌倉時代・正元元年(1259)奈良・與喜天満神社【通期展示】
平安時代前期から中期にかけて、当代きっての学才として宇多天皇にも重用された菅原道真公。謀略により、九州・大宰府へと左遷され、都への帰還を願いながらも叶うことなく、失意のなか命を落とします。

「束帯天神像(遺教院本)」南北朝~室町時代(14~15世紀)京都・北野天満宮【展示終了(4/28〜5/4に展示)】
その後、平安京の中心・清涼殿への落雷や疫病の流行など、都では災いが続き、それらは道真の怨念の仕業によるものと恐れられるようになります。
その後、さまざまな経緯を経て道真の御霊は北野の地に祀られ、次第に善神として崇敬を集めるようになります。

右から、国宝「伝管公遺品のうち角柄子、高士弾鏡 、白円面現」中国・唐時代(9世紀)、中国・唐時代たたは奈良〜平安時代(8〜9世紀)、中国・唐時代(7〜8世紀)大阪・道明寺天満宮【いずれも通期展示】
こちらは、道真公が愛用したと伝わる刀子や硯、櫛や笏(しゃく)など、国宝「伝菅公遺品」。
飛梅伝説のもとになった「東風(こち)吹かば 匂ひおこせよ 梅の花 主(あるじ)なしとて 春な忘れそ」という道真公の歌を思い出しますね。切ない!

「十一面観音立像」平安時代(12世紀)京都・曼殊院【通期展示】
明治時代以前の日本では、神と仏を結びつけて信仰する「神仏習合」の考えが一般的でした。
十一面観世音の化身と考えられた天神様は、真言宗や天台宗の繋がりが生まれ、奈良の長谷寺とも深い関係があったそう。
史上初! 国宝「北野天神縁起絵巻」の全巻・全場面を公開

国宝「北野天神縁起絵巻(承久本)」巻第一[部分]鎌倉時代(13世紀)京都・北野天満宮 ※現在は巻き替えのため異なる箇所が展示されています
今回の展示でなんといっても見逃せないのが、国宝「北野天神縁起絵巻(承久本)」。ものすごく大きく、そして長い! 滅多に公開されることがないこともあり、鮮やかな彩色が今に伝えられています。

どれぐらいのスケールかというと、「北野天神縁起絵巻(承久本)」の展示室を上から写した写真でお伝えできるかと思います。
コの字形の壁面の展示ケースに「北野天神縁起絵巻(承久本)」が展示されています(しかも2室!)。

重要文化財「赤糸威鎧 大袖付」室町時代(16世紀)奈良・長谷寺【展示終了(前期に展示)】
今では天神様というと、道真公の学才にあやかって学問の神様というイメージが強いですが、和歌や芸能の神、そして武神としても敬われていました。

手前:重要文化財「太刀 国綱ト銘ガアル(鬼切丸・髭切)」鎌倉時代(14世紀)京都・北野天満宮、奥:重要文化財「太刀 銘 □忠(薄緑・膝丸)」鎌倉時代(13世紀)京都・大覚寺【いずれも通期展示】
ここ最近絶大な人気を誇る日本刀。なかでも人気の高い源氏の重宝にして兄弟刀「髭切」と「膝丸」が揃い踏み。

「羅城門絵巻」[部分]江戸時代(17世紀)京都国立博物館【展示終了(前期に展示)】
能や歌舞伎のモチーフとしても有名な源頼光(みなもとのよりみつ)による酒呑童子(鬼)退治の後日譚を描いた絵巻では、髭切と膝丸が活躍(?)するシーンが!

手前:「金銅釣灯籠」桃山時代(慶長2年・1597)京都・北野天満宮【通期展示】
大河ドラマで注目度がアップしている豊臣秀吉は、北野天満宮の境内で「北野大茶湯」を催しています。この一対の釣燈籠は、秀吉と子の秀頼が一緒に寄進したもの。

