トランプ政権で富裕層課税は変わるのか?
――トランプ政権の誕生で富裕層に影響は及ぼしますか。
「米国では、日本と異なり、連邦税と州税が完全に分離されています。
フロリダ州やワイオミング州、ネバダ州のように州所得税ゼロの州もありますが、カリフォルニア州のように高税率の州も存在します。
トランプ政権は減税路線を重視していますが、一方で州レベルでは超富裕層への追加課税も議論されています。
つまり米国は、『減税国家』でありながら、『州ごとに富裕層を奪い合う国家』でもあるのです」
――日本とは税制の発想そのものが違うということでしょうか。
「かなり違うと思います。日本では全国ほぼ一律の税制度ですが、米国は州ごとの競争が激しい。そのため、人も企業も『どこで税金を払うか』を前提に移動します。
日本では東京への一極集中が続いていますが、アメリカでは州税の差が人口分散を促す役割も果たしているのです」
寄付と信託――アメリカ型の資産防衛
――米国の富裕層が活用する「信託」とはどのようなものですか。
「米国では、非常に古典的な資産防衛策が今も有効です。
日本でも以前は、アパート建設や生前贈与が相続税対策として広く使われていました。しかし現在では税制改正によってかなり封じられつつあります。
一方、米国では信託制度が非常に柔軟です。たとえば、1億円相当の賃貸物件を信託に移し、『今後十年間の収益は慈善団体へ寄付する』という条件をつけることで、相続評価額が大きく下がることがあります」
――米国では「寄付」が大きな意味を持つということですね。
「米国では寄付が『税金の代替機能』を持っています。
マーク・ザッカーバーグ氏が巨額寄付を行っても税務上大きな問題にならないのは、寄付文化そのものが税制に組み込まれているからです。
日本では『税金は国に徴収されるもの』という感覚が強いですが、米国では『自分の意思で社会へ再分配する』という考え方が根づいています。
さらに共和党内では、『相続税そのものを廃止すべきだ』という議論も根強い。
富裕層にとっては、長期的に見れば相続税負担そのものが軽減される可能性もあるのです」
