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相続税55%時代、日本の富裕層はどこへ向かうのかーートランプ時代に広がる「海外資産防衛」と日本人の税金問題【奥村眞吾税理士に聞く】

相続税55%時代、日本の富裕層はどこへ向かうのかーートランプ時代に広がる「海外資産防衛」と日本人の税金問題【奥村眞吾税理士に聞く】

相続税は「大衆課税」の時代へ

――日本の相続税は海外と比べても重税感があると言えるのでしょうか。

「率直に言って、日本の相続税はかなり重い制度です。

オーストラリアでは、『固定資産税を払っている土地に、さらに相続税を課すのは二重課税だ』という議論から相続税が廃止されました。カナダにも相続税はありません。

一方、日本では『取れるところから取る』という方向が年々強まっています。

2025年に国税庁が公表した数字は象徴的でした。年間約160万人の死亡者のうち、相続税が課税された人は約16万人。つまり、10人に1人近くが相続税の対象になっているのです。

もはや相続税は、一部の超富裕層だけの問題ではありません。その税収規模は数兆円に達し、消費税収の10%以上に相当するとも言われています。消費税は全国民が払う税金という側面がありますが、相続税は限られた人数で巨大な税収を生み出しています。国としても簡単には手放せない税目になっているのです」

――となれば、富裕層は具体的にどのような対策を取っていくべきでしょうか。

「今後考えられる手段としては、海外居住による非居住者申告、米国型信託の活用、婚前契約(プレナップ)の整備、子どもの海外教育、国際的な資産分散などがあります。

特に米国では、婚前契約が資産防衛の重要な役割を果たしています。再婚率が高い社会ですから、『結婚前に築いた財産は共有財産にしない』という契約を事前に結ぶ文化があります。

また、配偶者への財産移転は非常に優遇されています。たとえばビル・ゲイツ氏が離婚時に巨額の財産分与を行った際も、米国では基本的に課税対象にはなりませんでした。

日本ではまだ一般的ではありませんが、今後は国際化とともに、こうした資産管理の考え方が広がる可能性があります」

米国の未来、日本の未来

――今後、米国と日本はどのような方向へ進むと考えていますか。


「米国はインフレ国家です。インフレによって自然に税収が増えていく構造があるため、軍事費や財政支出が拡大しても、ある程度は吸収できます。つまり、新たな税目を作らなくても、経済成長と物価上昇によって財源を確保しやすい。

一方、日本では、防衛費を増やすたびに『財源をどうするのか』という議論になります。震災復興でも増税、社会保障でも増税、たばこ税も増税――。あらゆる場面で追加負担が検討されています。

さらに問題なのは、物価上昇に所得が追いついていないことです。給料が10%上がっても、所得税・住民税・社会保険料を差し引けば、手取りはそれほど増えていない。インフレだけが進み、実質所得が伸びない。『豊かになっている実感が持てない社会』になりつつあります」

――最後に、メッセージをお願いします。

「ぜひお伝えしたいのは、『税金にもっと関心を持ってほしい』ということです。

年収300万円の会社員でも、社会保険料を含めれば年間で給与数か月分が公的負担として消えています。それを『仕方ない』で終わらせるのではなく、自分がどれだけ負担しているのかを知ることが重要です。

かつて松下幸之助は、『これほど税金が高ければ江戸時代なら一揆が起きる』と語りました。それほど負担が重くなっているにもかかわらず、多くの日本人は自分の所得税額すら正確に把握していないのです。

世界はすでにボーダレスです。経済も教育も情報も国境を越えている。それなのに、税制だけが昭和の仕組みのまま残されています。スポーツ選手も経営者も学生も、もっと外へ出て世界を見るべきです。それが結果として、日本の制度改革への圧力になると思います。本記事が、日本と世界の税制を考えるきっかけになれば幸いです」

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