◆■コンサル業への参入ではなく、その先にあるもの
多くのメディアは今回の動きを「OpenAIとAnthropicがアクセンチュアやマッキンゼーのようなコンサル業に参入した」と報じています。それは間違いではありません。でも、それだけで見ていると、本当に重要なことを見逃すとぼくは思っています。FDEはいわば、あなたの仕事を丁寧に習いに来た弟子のようなものです。ただし、その弟子は人間ではなく、学んだことをそのままAIに渡す役割を持っています。
銀行の融資審査が実際にどういう判断ステップで進んでいるか。病院の薬の確認フローがどこで詰まるか。保険会社の査定で、人間がどの判断を絶対に手放したくないと思っているか。こういった「業界ごとの仕事のやり方」は、FDEが内側に入ることで初めて体系的に把握されます。そしてその情報は、次世代のAIに渡っていく可能性が高い。そうぼくは睨んでいます。
◆■AIエージェントこそが、次の主戦場
今、AI大手各社が最も力を入れているのが「AIエージェント」です。単に質問に答えるだけでなく、メールを送り、システムを検索し、承認を取り付け、複数の作業を自律的に繋げてこなすAIのことです。ただ、AIエージェントを「本当に使えるもの」にするには、その企業・その業界特有の仕事の流れを深く理解していなければなりません。どの順番で、誰が、何を確認して、どんな例外が起きたときにどう対処するか。そういった知識は外からは見えない。AIがどれだけ賢くなっても、会社の内側に入らなければ手に入らないものがあります。
だからこそ、FDEが必要になります。現場に入り込み、仕事のやり方を把握し、それをAIエージェントに渡していく。その役割を担う人材と組織をいち早く大企業に根付かせた者が、次世代のAI覇権を握る。今回、OpenAIとAnthropicが数千億円規模の投資を動かしたのも、このAIエージェントの本格化を見越した未来を見据えていたのではないかと思います。

