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「お父さん、また同じ話してる」…娘が感じた強烈な違和感。年金月22万円・74歳男性が免許返納で「50年ぶりに車のない暮らし」も、まさかの代償【CFPの助言】

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安全な暮らしになり出費も減ったが…失った「大切なもの」

今回のケースで重要なのは、和男さんが「一人暮らし」だったことです。

妻が生きていれば、日常の会話や外出のきっかけ、心理的な支えなどが自然と生まれたでしょう。しかし、和男さんのように妻を亡くした後の一人暮らしにおいて、車は生活の自由だけでなく社会との接点を支える役割も担います。

そのため、免許返納は単なる安全対策ではなく、生活構造そのものを変える決断になるのです。

和男さんは、「確かに出費は減った。でも、出かける理由まで減ってしまった。家にいるるだけだから、頭もぼーっとしてしまう」とぽつりと話します。

車を手放したことで、家計はわずかに軽くなりました。しかし、その一方で、「いつでも動ける自由」や「誰にも気を遣わず外に出られる気楽さ」まで失われてしまったのです。

お金だけでは測れない価値がある

警察庁の発表によると、2025年の免許の申請取消(自主返納)の総数は43万5,067件、うち75歳以上が26万915件を占めています。このデータからは、多くのシニアが免許返納を選択しているという事実がわかります。

もちろん免許返納自体は、決して間違った選択ではありません。安全面を考えれば、必要な決断になる場面も多くあります。

ただし、 一人暮らしで日常の会話が少ない、地方で移動手段が限られている、車への依存度が高い生活を送っているといった状況にある場合、「車を手放すこと」は単なる節約ではなく、生活そのものの変化につながります。

和男さんの異変は、地方における車以外の移動手段がいかに脆弱であるかも浮き彫りにしています。返納を促すだけでなく、返納した人々が孤立しないための自治体の支援の重要性が改めて問われているといえるでしょう。

「お金が減るかどうか」だけでなく、「外に出る機会はどうなるか」、「人とのつながりは保てるか」、「毎日に楽しみは残るか」。環境によって結果が変わることまで想像して初めて、本当に納得できる判断が見えてきます。


返納前に、車がなくなった日のシミュレーションを家族で徹底的に行うこと。それが、和男さんのような心の空白を作らないための、現実的な防衛策なのかもしれません。

新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP®

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