AI時代に、自分の手で作品を作る意味。
──1曲目「January 28th, 2026」や、フィールドレコーディングの11曲目「Hokuto City, Yamanashi, Japan」があることで、ホールでの江﨑さんのコンサートに招かれたような気持ちになりました。
江﨑 こうした曲を通して、誰が、いつ、どこで録ったものなのか、アルバムのなかできちんと表現したかったんです。近頃はAIの進化が凄まじく、サブスクリプションサービスでふと耳に留まった曲がAI生成だったことに気づいて、びっくりするということが時々あって。そうしたなかで、音楽に人間が介在しているという事実や感覚を大切にしたいと。
──わかります。AI生成でも、パッと聴いた限りでは判別できないほどのクオリティですよね。
江﨑 きっと音楽はどんどん、匿名的なものになっていってしまうと思うんです。それに比例するように、作り手も聴き手も「人間が作った音楽なんだ」という感覚を求めるようになるんじゃないかと思っています。
──作品自体はとてもタイムレスな仕上がりですし、また数年後、数十年後に聴き直して、「このときに録ったアルバムなんだな」と振り返るのも楽しいですよね。
江﨑 そうですね。今作のひとつのテーマとして、自分が70歳、80歳になったときにも自信を持って演奏できるものにしたいと考えていました。例えば、お年を召したボサノヴァのアーティストが、ギター1本でステージに上がって、挨拶もそこそこに弾き始める姿とか、とてもかっこいいじゃないですか。自分もそんなおじいさんになれたらいいな、と。長く愛される存在であるためには、自分の内側を逃げずに見つめ続けて、自分のやりたいことをやる。それに尽きると思うんです。今回は特に、そうした実感を深められた作品になったんじゃないかなと思っています。

For Better Life
「ベターライフのために大切にしていることはありますか?」

&Premiumが大切にしている「Better Life(より良き日々)」。それを叶えるためのヒントを江﨑文武さんに聞いてみました。
「お茶を飲むこと」:朝と寝る前に緑茶や黒豆茶、ほうじ茶などを楽しんでいます。急須は〈白山陶器〉、茶筒は〈開化堂〉のもの。この時間にレコードもかけて、朝はグレン・グールドのバッハだったり、時間によって聴く音楽を決めていて。リラックスしながら、妻と話をする時間を大切にしています。
Release InformationWhispers of Silence

各種ストリーミングサービスにて配信中。
01. January 28th, 2026
02. Scenery
03. Nostalgia
04. Midnight Steps
05. Snowlit Heart
06. Felt
07. Homeward
08. Letters
09. Unwind
10. Split Ways
11. Hokuto City, Yamanashi, Japan
12. Barcarolle
13. Quiet Moon
14. Unfold
15. Children’s Waltz
16. In Your Light
17. Absence
18. Voyager
19. Ours
lnk.to/ae-whispersofsilence
江﨑文武 Ayatake Ezaki音楽家
1992年福岡県生まれ。東京藝術大学音楽学部卒業。東京大学大学院修士課程修了。バンドWONKのメンバーとして活動するほか、King Gnu、Vaundy、米津玄師、藤井風らのレコーディングおよびライブサポートに参加。実写映画『秒速5センチメートル』『#真相をお話しします』、ドラマ『シナントロープ』などの劇伴を手がけ、NHK FM「江﨑文武のBorderless Music Dig!!」パーソナリティ、西日本新聞「音聞」にて連載を執筆するなど、多方面で活躍。現在、47都道府県ツアーの真っ最中。
photo : Hinano Kimoto
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