◆AV新法に対する危機感

天川:「AV新法」はずっと見守っていますが、契約から撮影まで1ヶ月のクーリングオフ期間の義務付けは、撮影当日、急病などでの出演キャンセルがある場合困りますよね。1ヶ月前に出演契約を済ませておかないといけないので、誰か一人出演者が急病などになったら代役できないので、撮影自体がなくなるんです。
――そこはどう改正すればいいですか?
天川:逆に言えば、強要してくる人って、契約して1ヶ月後だろうが1年後だろうが、結局は強要してくる可能性があるんです。あと、出演者が当日来られなくなると、撮影そのものがなくなってしまうので、そのあたりはもう少し柔軟に対応できる内容にしてほしいなとは思います。
――「AV新法」改正運動が沈静化した理由はなんですか?
天川:私の場合はプレイヤーでもあるので、主張があまりに尖って強すぎると、「ちょっと扱いづらいよね」みたいな意見も出てきてしまうんです。ファンの中にも、「もう少し偶像でいてほしかった」とか、「ここまで主張が強いと、違う見方をしちゃって作品を楽しめなくなる」みたいな声があったんです。
やっぱりセクシー女優として見られている間は、個人的な思想や強い意見があると、観ている人が楽しめないんです。特に、反対運動みたいなイメージが固定化されると、「真面目な人」「主張の強い人」っていうレッテルが貼られてしまい、例えばギャル系みたいなキャラクターも受けづらくなりそうだし、演技の幅やキャラクター性にも影響してくるんです。だから、セクシー女優として活動する上では、ある程度は反対運動を自粛していたほうが、使いやすいし、作品も撮りやすい、という空気はありますね。
◆ロビー活動に必要な根回し
――業界全体としてもトーンダウンしていますよね。天川:反対運動をしていても、実際にはブレイン役の人があまりいなくて、みんな「どう動けばいいのか」がわからないんです。例えばロビー活動をするにしても、どこを窓口にすればいいのか、誰に取り次いでもらえばいいのか、そこからわからないんです。最初に誰にアポを取るかで、その後に会ってくれる人まで変わってくるので、やみくもに動いても意味がなくて、「この人と先に会っても大丈夫か」とか、「このルートなら別の人とも繋がれる」とか、何人か詳しい人に裏取りしながら、マップを作るように動く必要があると思います。
――いまは野党の現職議員と、落選した元議員に訴えているのが状況です。
天川:そういう意味では、ロビー活動ってかなり重要なんです。ただ、こちらの業界って比較的素直な人が多いので、そこを飛ばして突撃してしまうことが結構あるんですよ。でもロビー活動って、「敵を作らない」こともすごく大事なんです。そこを間違えると、一気に関係が悪くなってしまうんです。みんなで足並みを揃えて動こうとしているときに、誰かが先走って突撃してしまうと、業界に対してもともとネガティブな感情を持っている人たちが多いから、「だからセクシー女優は……」って見られかねないんです。
――もともと偏見のある業界ですからね。
天川:だから、本当はタイミングを見ながら、「ここはこの人に動いてもらおう」とか、「意見書を出すタイミングで女優が前に出よう」とか、役割分担をしながら進めるのが理想なんです。周囲が足場を作ってくれてはいるんですけど、その場で足踏みしている状態が長く続いていて「次はどう動くべきか」を判断する、いわば現場監督みたいな存在がいないんですよ。今後もっと現場の声を反映していけたらいいなっていうのはあります。実際に働いている人たちの声をきちんと拾いながら、制度を調整していくことが大事なのかなと思います。
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過去に二件連続のギャラ未払いというトラブルを経験した天川そらさんは、現在もセクシー女優として活動を続けている。業界の暗部を正直に語りながら、「それでもこの業界で働きたい」という強い意志を示してくれた。
現在の事務所を選んだ決め手は、元マネージャーである代表との厚い信頼関係、そして「女優にきちんとお金を還元すべき」という共通の価値観にある。一般社会の常識をベースに持ち、「おかしいことはおかしい」と言い続けられるビジネスパートナーの存在が、彼女の大きな支えとなっているのだ。
【天川そら】
X:@amakawa_sora_
<取材・文・撮影/神楽坂文人(X:@kagurazakabunji)>
―[天川そら]―
【神楽坂文人】
世界一セクシー女優を取材しているカメラマン、ライター、インタビュアー。元成人誌編集者のため、最後の砦として活躍中。年間イベント取材数300本超え! 年間インタビュー数200本超え! バイクで都内を駆け巡り1日で複数の仕事を受けている。X(旧Twitter):@kagurazakabunji

