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江夏豊が激怒した「江夏の21球」の真相。マウンドから睨みつけた名将・古葉監督との確執と、今明かされる和解の瞬間

江夏豊が激怒した「江夏の21球」の真相。マウンドから睨みつけた名将・古葉監督との確執と、今明かされる和解の瞬間

◆江夏が語る「最高傑作の配球」

配球とは芸術だと思う。1球目と2球目、2球目と3球目、3球目と4球目、4球目と5球目……すべて繋がっている。この5球目が狙い通りのコースに決まったからこそ、6球目の同じインローヘのカーブが活きる。結果は空振り三振。18年間の現役生活で、最高傑作の“芸術”だった。

タケちゃん(北野武)は「江夏の21球」を“江夏の自作自演”とネタにしていたけれど、そんなに俺は器用じゃない。結果的には自分でピンチをつくって自分で抑えたのだからマッチポンプに見えてしまうのだが、そもそも自作自演できるほどの技術があったら、とっとと3人で片付けている。早く終わらせて日本一を決めたほうが、どれだけ身も心も休まることか。

次の打者・石渡(茂)への「スクイズ外し」でピンチを脱して、広島が日本一を達成するのは周知の通りだが、俺はこの試合が終わって以降、古葉さんとは翌年の開幕までまともに口をきかなかった。ブルペンの一件で、腹の虫が収まらなかったからだ。

翌年の開幕戦の日に俺は監督室のドアをノックして、こう告げた。

「去年の日本シリーズ最終戦でどうしても納得できないことがあったので、今日は帰らさせてもらいます」

古葉さんは顔色を変えて釈明と謝罪をしてくれた。一言謝ってくれればそれでいいと思っていたので、新たな気持ちでシーズンに入ることができた。

親友・サチの心意気、古葉さんとの確執と和解、そして野球人生で最高の“芸術”──「江夏の21球」は、二度と起こり得ない奇跡の連続だった。

【松永多佳倫】
1968年生まれ。岐阜県出身。琉球大学卒。出版社勤務を経て沖縄移住後、ノンフィクション作家に。プロ野球界の重鎮のインタビューをはじめ、スポーツ取材に定評がある。著書に『怪物 江川卓伝』(集英社)、『92歳、広岡達朗の正体』、『確執と信念 スジを通した男たち』(ともに扶桑社)、『第二の人生で勝ち組になる 前職:プロ野球選手』(KADOKAWA)、『まかちょーけ 興南 甲子園優勝春夏連覇のその後』、『偏差値70の甲子園 ―僕たちは文武両道で東大を目指す―』、映画化にもなった『沖縄を変えた男 栽弘義 ―高校野球に捧げた生涯』、『偏差値70からの甲子園 ―僕たちは野球も学業も頂点を目指す―』、(ともに集英社文庫)、『善と悪 江夏豊ラストメッセージ』、『最後の黄金世代 遠藤保仁』、『史上最速の甲子園 創志学園野球部の奇跡』『沖縄のおさんぽ』(ともにKADOKAWA)、『マウンドに散った天才投手』(講談社+α文庫)、『永遠の一球 ―甲子園優勝投手のその後―』(河出書房新社)などがある。5月15日に江夏豊氏との共著『江夏の遺言』を刊行した。
配信元: 日刊SPA!

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