◆居座る客に成立しうる“ある罪”とは
ちなみに、店側が「お引き取りください」と伝えたあとも居座り続けると、刑法130条の「不退去罪」に問われる可能性があります。法定刑は3年以下の懲役または10万円以下の罰金。「お店だから関係ない」と思いがちですが、住居侵入罪と同じ条文に並ぶ、れっきとした犯罪です。さらに、大声で怒鳴ったり長時間クレームを続けたりして店の業務を妨げた場合は、「威力業務妨害罪」(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)が成立する可能性もあります。「お客様」という立場は、決して無敵のカードではない――そんな当たり前の事実が、ようやく社会に共有され始めたところなのかもしれません。
◆お互い気持ちよく、テーブルを囲めますように
――なんて、つい法律の話ばかりしてしまいましたが、外食って本当は、もっと心が躍るもののはず。湯気の立つ料理、グラスの音、誰かと囲むテーブルの楽しさ。「いらっしゃいませ」と「ごちそうさま」の間にある時間は、店員さんと客の双方が少しずつ思いやりを持ち寄って、はじめて成り立つものだと思います。明日、お店の扉を開ける側になる人も、カウンターの内側に立つ側になる人も。「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」のあいだに流れる時間が、誰にとっても穏やかなものでありますように。この記事が、ほんの少しでもその一助になれたなら、こんなに嬉しいことはありません。
<取材・文/八木正規 再構成/日刊SPA!編集部>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営

