
「株で老後資金をつくる」と聞くと、短期売買で大きな利益を狙うイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし、長年にわたり“配当を生む株”を地道に買い増し、「自分年金」を築いた人たちもいます。後期高齢者の投資家・Eさんもそのひとり。派手な成長株ではなく、高配当銘柄への集中投資を徹底。いまでは年間の手取り配当が「驚きの額」に……。本記事では、杉村富生氏の著書『月々10万円、年120万円がず〜っと入ってくる 毎月配当株投資』(すばる舎)から一部を編集・抜粋し、“配当長者”となった裏側を解説します。
地道に有望な銘柄の株数を増やしていく株式貯蓄=資産形成の本流
株式投資は古来、「利回りに始まり、利回りに終わる」といわれています。すなわち、株式投資の基本は配当です。「当社は成長を重視するため、配当はしません」という企業もありますが、配当収入(インカムゲイン)をあてにする投資家にとって、どんなに好業績でも無配では話になりません。
昨今は短期・順張り投資が全盛です。そう、材料株とか成長株にマトをしぼり、ひたすら値動きを追って売買益(キャピタルゲイン)を狙うのです。確かに、これも株式投資の1つでしょう。
しかし、短期・順張りは趣味的、ゲーム的な側面(少額の利ザヤ稼ぎ)が強く、このやり方だけで老後資金をつくるのは無理ではないでしょうか。面白さには欠けるものの、地道に有望な銘柄の株数を増やしていく株式貯蓄こそ、資産形成の本流だと思います。本来、趣味と利殖は両立しないのです。
投資家Eさんの「高利回り銘柄の集中買い」という戦略
後期高齢者である投資家Eさんの投資戦術は、高利回り銘柄の集中買いです。それに徹しています。Eさんに、リスクヘッジという名分による一般的な分散投資の概念はありません。
投資資金に余裕のある投資家には、「自分は30以上の銘柄を持っている」と自慢する人がいますが、銘柄を必要以上に分散させると管理ができず、結局のところ「利益が分散する」との考えです。
Eさん、酒に酔うと、「投資信託を見てみろよ」と怒ります。最近の投資信託は好成績(高パフォーマンス)のものが多いのですが、かなり以前によほど損をしたことがあるようです。
現役時代、Eさんは金融機関に勤め、都内の店舗の支店長をしていました。そのとき、税理士の試験に合格したそうです。税理士の試験は難しいといわれています。筆者の知人に50歳近くになって、まだ受からない人がいます。
それはともかく、そんな経歴を持っているため、Eさんの知り合いには公認会計士、税理士が何人かいます。
株式投資の場合、集中投資にもリスクがあります。その最たるものは経営破たんです。Eさんは、それを避けるため、徹底的に企業の状況を調べます。Eさんと話していると、「あの会社ねえ、公認会計士に調べさせたら、少し怪しいところがある」とか、「前期の会計処理はおかしい」といったコメントがよく出てきます。
もちろん、自分でも決算資料を読むだけでなく、投資対象企業に電話をかけたり、こまめに調査をします。さすがです。そうでなければ、集中的に投資することなどできません。
