◆ネットの知識ゼロで、ネット広告会社を起業
――そんな飛び込み営業のセールスマンが’01年に突如、アドウェイズを起業します。岡村:この年、(※4)東証マザーズに上場した(※5)サイバーエージェントの(※6)藤田社長が、テレビで『これからはインターネットが全て変えていく』と話しているのを見て、当時、大阪の営業会社にいたんですが『こりゃ換気扇のフィルター売ってる場合じゃねえ!』って。修業のためにサイバーエージェントの採用試験に応募して、①給料はいらない②経費も自分で持つ③(藤田社長が週114時間労働だったので)週124時間働く④いつクビにしてもいい、と雇用リスクゼロの提案をしたんですが、2回落ちて……。最後は直談判で、会社に“社員のフリ”して潜り込んで、藤田社長の机に履歴書を置いたんですが、結果、返事はこなかった。できることは全てやったので、すぐに自分で会社をつくりました。

岡村:ありません。ただ、市販されていたインターネットの解説書を2冊だけ徹底的に読み込んだので、当時にしては知識だけは上のほうだったと思いますよ(笑)。問題は、実際にシステムを作れる人がいなかったこと。そこで新大阪のコンピュータ専門学校の前に行って、一本釣りしました。開発できそうな人は見ればわかる。メガネで痩せてる学生に『開発できる?』って声をかけたら、『できる』って言うから任せたんです。すぐに50万円渡して依頼したんですが、結局できないし、お金も戻ってこない(苦笑)。それで、改めてネットで人を探して、一緒に会社を始めました。
――創業以来、右肩上がりで今も成長を続けてます。成功の要因は何だと思いますか?
岡村:中卒の僕を大阪で受け入れてくれた近畿設備という会社は、厳しく育ててくれた一方で、17歳の僕を所長の次のポジションに抜擢してマネジメントを任せたり、多くのチャレンジをさせてくれた。だから、会社は商品を売るだけでなく、人を育てるのが役割だと思ってます。アドウェイズの経営理念は“金儲けより人儲け”。売り上げや利益より、社員に成長機会を提供することを重視する。新規事業を立ち上げて、若い人にどんどん任せて、やりすぎて業績が悪化したこともあるけど(苦笑)、気にしない。金儲けしたいなら、“選択と集中”で得意分野に専念して、余計な事業に手を出さなければいい。でも、新しいことをやらないと、つまらない会社になりますから。

岡村:会社説明会で『福利厚生は充実してますか?』と聞かれて、『ふざけんな! 舐めんなよ』と心の中でキレかけたことがある(笑)。ウチはベンチャー企業なので、社員に与えるのは安定・安心ではなく成長機会。(※7)ラーメン二郎で『ヘルシーなメニューありますか?』って聞くようなもんですよ(笑)。
ITで効率を極限まで突き詰めながら、発想は“ぶち破る”。その振り切った経営哲学で、オールドルーキーの躍進は今後も続きそうだ。
【Haruhisa Okamura】
1980年生まれ。アドウェイズ会長、オールドルーキーサウナ店長。高校中退後、訪問販売会社に就職。その後、大阪の近畿設備に転職し関西トップのセールスマンとなる。’01年、アドウェイズを設立。’06年、当時史上最年少の26歳で東証マザーズに上場
(※1)アドウェイズ
’01年、現会長の岡村氏が設立したインターネット広告代理店。現在は東証スタンダード市場上場
(※2)オールドルーキーカフェ
新宿小滝橋通り店、日本橋馬喰横山店、溜池山王店、神田東口店の4店舗。全店駅近で低層階と喫煙者ファースト。アドウェイズのグループ会社が運営
(※3)オールドルーキーサウナ
六本木、渋谷、新宿、銀座の4店舗を構える会員制・招待制のサウナ。一部店舗は会員登録なしのビジター料金で利用可能。SPA!主催の第6回「サウナ大賞」にて、3店舗が総合トップ10にランクインした
(※4)東証マザーズ
かつて東京証券取引所が開設していた、将来成長が期待されるベンチャー企業向けの株式市場。’22年、グロース市場へ再編・統合
(※5)サイバーエージェント
1998年、創業。’00年、東証マザーズ上場。’14年、東証1部(現プライム市場)に移行
(※6)藤田社長
藤田晋氏。サイバーエージェント代表取締役会長、AbemaTV代表取締役社長、新経済連盟副代表理事。米経済誌『フォーブス』によれば、’21年の日本長者番付の第33位。資産額1944億円
(※7)ラーメン二郎
東京都港区三田に本店を構えるが、ほかにのれん分けした同名店が多数ある。麺量の多さ、山盛りの野菜、巨大な豚(チャーシュー)、ニンニクと圧倒的なボリュームが特徴
取材・文/齊藤武宏 撮影/尾藤能暢
―[インタビュー連載『エッジな人々』]―

