◆就任後、数か月はまともに社長業ができなかった

「就任後の数か月は、連日メディア対応で……。会社のブランディングにもつながると思い積極的にお受けしていましたが、まともに社長業はできませんでした」と、苦笑いする。

「経営者といえど、現場を見ないことには何もわかりません。基本的には弊社が運営する全国31の店舗(系列店を含む)にどこかしらほぼ毎日顔を出し、スタッフと一緒に接客をしています。仕事上の連絡や事務仕事は、移動中に済ませてしまうことが多いです」
諸沢さんに次期社長を打診した西牧大輔前社長(現会長)は、諸沢さんの社長就任から3年は共同で会社を運営し、その後退職する約束だ。現場仕事の合間には西牧会長とともに講演で全国を回ったり、経営会議に出席したりと、現場以外の業務も忙しい。
「1年目は、社長業の年間スケジュールを把握するだけで手いっぱい。一通り流れを覚えたら、2年目にやっと『感情』が出てきた。今年はラストイヤーなので、残された時間で会長からどれだけ吸収できるかが勝負です」
◆社長は目的ではなく、「手段」に過ぎない

「最初は会議に出ても話の内容がわからなかった。今も数字を見て経営判断を下すのは、本当に苦手。経営者としては致命的ですよね」と、「叩き上げ社長」としての弱点も隠さない。
代表取締役就任という会社員人生のいわば「頂点」を20代前半にして達成し、将来をどう思い描くのかと聞くと、こう即答した。
「私にとって社長は目的ではなく、あくまで『手段』。『人のために汗をかく』『人に良い影響を与える人となる』という自分にとっての軸を守れる限り、社長という地位へのこだわりはありません」

