
もしも年金暮らしの親に「お金が足りない」と泣きつかれたら……。「助けてあげたい」という気持ちになる人も少なくないのではないでしょうか。しかし、自身の老後資金やわが子の教育費など、親ばかりに援助を続けるわけにもいかず悩ましいところです。70代両親と46歳娘の事例をもとに、「親への金銭援助」で気をつけておきたいポイントと、老後陥りがちな思わぬ破産リスクをみていきます。
貯金3,000万円でも足りない?…母の“SOS”を心配
ユウコさん(仮名・46歳)は、夫と高校生・中学生の子ども2人との4人家族、横浜市内の分譲マンションに暮らしています。世帯年収は900万円(夫800万円/ユウコさん100万円)です。
下の子が中学生となり、子育てにかかる負担が少し減ってきたことから、ユウコさんは「そろそろ扶養を抜けて働く時間を増やしたい」と思うようになりました。
働いた分は教育費や生活費に回したいと考えているものの、その願望は簡単には叶えられそうにありません。
というのも、ユウコさんは実家の母親からたびたび「お金が足りない」と援助を求められていたからです。
年金月27万円で、なぜ生活が厳しいの?
両親はともに70代前半です。夫婦で約27万円の年金を受給しており、このほか3,000万円の預貯金があるはずでした。
さらに、持ち家で家賃はかからず、ともに健康。医療費がかかっているわけでもありません。一般的にみれば、比較的ゆとりがある家計です。それでも母親は、会うたびに「生活が厳しい」と口にします。
最初のうちは、「どうせ一回きりだろう」といわれるがままに援助に応じていたユウコさんでしたが、何度もお願いされるうち、疑問が湧いてきました。
「年金が27万円あって、家も貯金もあるのに……どうして足りないんだろう?」
子どもたちの教育費や自分たちの老後資金のことを考えると、このままの頻度で援助を続けることは難しい状況です。モヤモヤが募ったユウコさんは、意を決して実家に帰省し、家計の内訳を確認することにしました。
「節約を意識している」と口をそろえる両親だが…
確認してみると、毎月の支出は下記のような状況でした。
・食費(外食費込):12万円
・水道光熱費:2万5,000円
・通信費:2万円
・保険料:2万円
・美容、被服費:3万円
・趣味、娯楽費:3万円
・交際費:1万5,000円
・日用品、その他:4万円
・税金・社会保険料:約3万円
合計……約33万円
年金収入が27万円であるのに対し、支出は合計で約33万円。つまり、毎月6万円ほどの赤字です。
グルメな2人は頻繁に外食に出かけ、スマホも大手キャリアのまま。上記以外にも、海外旅行に毎年行っているほか、冠婚葬祭などの臨時の出費もあるようです。父親は現役時代、年収が1,000万円ほどあったため、当時の生活スタイルをそのまま維持しているようでした。
両親は「節約を意識している」と口をそろえるものの、ユウコさんからみると両親は節約どころか、浪費しているのにその自覚がまるでないように思えました。
また、どうやら両親のいう節約は、「買うか迷ったらなるべく買わないようにする」「貯金にはあまり手をつけない」という程度のよう。
「貯金は万が一のために残しておきたい」という思いから、支出を見直すことよりも「貯金を守ること」が優先されていたようです。
ユウコさんは、両親のあまりに自分本位な考え方に絶望したといいます。
「自分たちの貯金には手をつけずに、娘に援助を求めるんだ……ウチの親、終わってるわ」
