◆帰宅時も変わらない混雑ぶりに“あきらめモード”
朝の通勤だけでなく、帰宅時の状況も深刻だといいます。仕事を終えて疲れた体を引きずって帰る夜の電車もまた、ラッシュに巻き込まれることが多いとのこと。
大河さんは少しでも人混みを避けようと、ホームで3〜4本ほど電車を見送り、空いている各駅停車を選んで乗ることもあるそうです。
「もう準急や急行はあきらめています。帰宅が少し遅くなっても、各駅停車でゆっくり帰るほうがまだマシなんです」
こうした状況が常態化し、帰宅時間も以前より大幅に遅くなってしまいました。
会社を出てから自宅の玄関を開けるまでの時間が延びるだけでなく、精神的な消耗も無視できないといいます。
通勤とはそもそも体力的な負担を伴うものですが、それに加えて「今日は乗れるか」「間に合うか」という焦りまで加わるとなれば、心への影響も決して小さくはないでしょう。
◆みんなが満足する“再開発”を目指すべき
大河さんが幼少期を過ごした頃、この駅前に広がっていた田畑の記憶は今も鮮明に残っているといいます。それが時代の流れとともに宅地化が進み、やがて再開発の対象となり、今やランドマークとも言えるタワーマンションが天を突くように建ち並ぶようになりました。
「見た目はきれいになりましたよ。そこは認めます。でも、元から住んでいる側からすると、メリットよりデメリットの方が大きいですね、少なくとも私には」
大河さんはそう話します。確かに、再開発によって街のブランドイメージが上がり、商業施設が充実し、地価が上昇するという恩恵を受ける人もいるでしょう。
一方で、もともとそこに根を張って暮らしてきた住民には新たな問題も少なくないといいます。
「変わりゆく街に自分たちが生活スタイルを合わせなきゃいけないのでしょうかね。でも、なんか違う気もするんですよ。利益優先みたいな部分が先行していて……。やはり、みんなが満足する“再開発”が一番の理想だと思います」
ため息混じりの大河さんの言葉がとても印象的でした。
<TEXT/八木正規>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営

