ストレス沼2:責任感からオーバーワークに…もう限界!!
瑠璃子さん(35歳)は、男社会の色合いが濃い業界でがんばってきた人で、社内では珍しい、女性管理職に任命されたそうです。ところが、そのあたりから不調を感じ始めます。
「会社は『これからは女性の時代』と私を担ぎ上げましたが、今でも周りの男性たちには、『女=軽く扱ってもよい存在』という暗黙の了解があるんです。やっかいな案件を押し付けられたり、社内でも『お荷物』と言われる男性が異動してきたことで、彼の尻拭い業務も増えたりで、ストレスは増える一方です」(瑠璃子さん)
肉体的にも精神的にも疲れた瑠璃子さんは、施術室でも、よく「だるい」「イライラする」「限界かもしれない」と、泣いていました。
こういうときは、スパッと辞めて転職する、休職するという手段が必要かもしれません。しかし、瑠璃子さんは「仕事を途中で投げ出すような真似はできない」と、自分だけでどうにかしようとあがいていたようです。
この「自分だけであがく」クセは、真面目で責任感が強い女性に多いのですが、少し辛辣な言葉を投げかけるなら、「いい人でありたい」気持ちが強い人ともいえます。
「いい人」は素晴らしい性質です。ところが、「人から良く思われたい」「失敗は許されない」という思いが根底にあり過ぎると、苦しい立場にある自分をないがしろにしてでも、相手に迎合することを選ぶ習性があるのです。これは「心のクセ」の一つでもあります。
ここで、考えてほしいのです。究極、自分を守れるのは自分しかいません。他人は守ってくれないのですよ。よほど余裕のある奇特な人がいれば別かもしれませんが、自分を最優先に考えることは、誰にとっても同じなのです。
何より、仕事の進捗状況が芳しくないなら、瑠璃子さんは直属の上司に掛け合わなければなりません。放置すれば業務に影響するわけですから、瑠璃子さん個人ではなく会社全体の問題のはず。「そう言わず、よろしく頼むよ」などという甘言に呑まれている場合ではないのです。
脱出法:自分を追い込む「いい人」思考をやめる
今、日本でもようやくアサーティブコミュニケーションという「自分と相手の双方を尊重した自己表現」によるコミュニケーション法が認知されつつあります。これは相手の立場や意見を尊重しつつ、自分の主張も正確に伝え、双方が気持ち良くコミュニケーションを交わすことで、良好な人間関係を築くことを目的にしたものです。
つまり、一方的に自分の主張を押し通そうとするのも、相手の意見を尊重し過ぎるあまり受け身になってしまうのも、よろしくないということです。
特に、周囲の目や評価を気にし過ぎるあまり、自己表現を恐れてしまう人は要注意。瑠璃子さんのように、自分の意見や感情を抑え込み過ぎると、不満や不安を溜め込むことになり、体がストレスに蝕まれてしまいます。
もし、心の中の不平不満や負担を軽くしたいと願うなら、行動しましょう。自分を強く持つんです。あなたの体を助けられるのは、あなただけなんです。
瑠璃子さんは施術台に横たわりながら、「私、いい人やめないとダメですね……」と呟きました。もちろん、一朝一夕に「万事解決」という話にはなりません。けれども、しばらくして瑠璃子さんには明らかな変化が出てきました。
「先生、なんだか気持ちがラクになったんです。心のクセはなかなか治らないのですが、『納期遅れは私のせいじゃない』『責任取るのは、もっと上の人!』と思って、自分を追い込まないようにしています。
心の中の決め台詞は、『いつでも上席にぶっちゃけてやる!』です(笑)」
瑠璃子さんの体調回復までは、まだしばらくかかるでしょう。私は彼女の血流を良くしながら、「少しずつ強くなってくれるといいな」と施術に励んでいるところです。

