◆知らないうちに詐欺拠点に
カンボジアでは最近、「不動産オーナーの知らないうちに、テナントが勝手にオンライン詐欺を行っていた」という事例が散見されるが、前出の小市氏は、カジノライセンスを隠れみのにした違法行為も確認されていると指摘する。「ライセンスという傘を確保し、その内部で中国系犯罪シンジケートが自由に活動できるような、『ホワイトラベル型(名義やシステムのみを貸し出す形態)』のインフラ提供モデルが確認されています。不動産オーナーが負うべき道義的・法的責任は、これまでの不動産投資トラブルとは比較にならないほど重いでしょう」
今回の事態を受けてカンボジア当局は、 オーキッド・ホテル&リッチ・カジノのカジノライセンスの即時取消を発表。オンライン詐欺など違法行為への関与が疑われるすべてのカジノに対して、立ち入り検査や捜査などを継続していくことを表明した。

◆日本企業が進出する「経済特区」にも影響
さらに、今回の特殊詐欺拠点の摘発をめぐっては、もう一つ日本人に関わる問題が浮上している。摘発された詐欺拠点のすぐ近くで、日本人とカンボジア人による合弁事業のS経済特区が運営されていたからだ。この経済特区では、大手を含めて複数の日本企業が拠点を置いている。S経済特区の運営会社は詐欺拠点の摘発翌日、「経済特区はオンライン詐欺に一切関与していない」との声明を出す事態となった。
一方で、調査団体のCyberScamMonitorは「S経済特区が’22~’24年にかけて発表していた公式地図によれば、今回摘発された施設が経済特区の境界内に入っていた」と指摘している。現在の土地所有権については明らかにされていないものの、こうした疑惑について説明を求める声があがっているのだ。
一連の事態について、S経済特区の運営会社の日本人担当者に取材を申し込んだが、期日までに返答はなかった。同社のウェブサイトも閲覧できない状況になっている。

