◆ポイペトのゴッドファーザーに米制裁も
カンボジアの特殊詐欺拠点の問題をめぐっては、地元の有力者との癒着もたびたび指摘されている。4月23日には米国財務省外国資産管理局が、ポイペトの「ゴッドファーザー」と呼ばれる上院議員のコック・アン氏などに対し、経済制裁を科すと発表。コック・アン氏の所有するビルがオンライン詐欺や人身売買の拠点となり、アメリカ人などを標的とした詐欺で、多額の利益を上げていたと指摘している。
また、同氏は水道や電気といったインフラ企業の会長も務めていた。カンボジアに進出する企業が、このように制裁を科された人物が展開するビジネスの恩恵を受け、間接的に国際犯罪に関与してしまうような懸念もある。
カジノ、不動産投資、経済特区――。国境ビジネスの裏で、特殊詐欺や人身売買は静かに拡大を続けてきた。今回の摘発は、その利益構造の裏に、日本人もまた深く組み込まれていることを浮き彫りにしている。「知らなかった」ではすまされない時にきているのかもしれない。
【泰 梨沙子(はた・りさこ)】
共同通信グループ系メディアで記者を務める。’21年に独立。フリージャーナリストとしてタイ、ミャンマー、カンボジア、ラオスの人道問題について執筆

