◆鬼の形相での“交通指導”
信号待ちで停車していた山本さんは、空いていた左折レーン路肩に移動し、ハザードランプを点灯させて車を降りました。そして、その自転車に近づきます。
まずは丁寧に声をかけたものの、内心はかなり切迫していたといいます。そして、振り向いた男性に対し、山本さんはほとんど無言のまま行動に出ました。自転車から降りさせ、そのまま自ら自転車を持ち上げ、歩道脇へと移動させたのです。
「多分、かなり怖い顔をしてたと思います。自分でも分かるくらいでした」
突然の出来事に、金髪の西洋人男性は完全に呆気に取られていたそうです。そのまま山本さんの後をついて歩道へ移動し、落ち着いたところで、改めて確認した山本さん。
「Do you speak English?」
男性がうなずくと、山本さんは「日本では、その乗り方はとても危険です。あなたのためにもやめてください」と、英語で伝えた。
さらに、自身のロンドンでの経験にも触れながら説明を続けた山本さん。
「向こうではよく見た光景だけど、ここは日本です。ルールも違います。This is Japan!!」
その言葉には、強い意志が込められていました。
◆まさかの展開と“その後の関係”
山本さんの言葉を受け、男性は少し驚いた様子を見せたそうですが、ようやく自分がおかれた状況を把握したのか、軽くうなずいたといいます。そのあとすぐに「注意してくれてありがとう。僕はイギリス人で、いつもの走り方をしていました。でも、危険であることを知らせてくれたことに感謝します」と英語で話したその男性。
予想外の素直な反応に、山本さん自身も少し拍子抜けしたといいます。
「もっと反発されるかと思ってたので、意外でした」
その後、少しばかり会話をする中で、なんとそのイギリス人男性のアパートは、山本さんが赴任していた頃の事務所のすぐ近くであったことが判明。
「思わず会話が弾み出したので、私は近くのコインパーキングに車を停め、二人でお茶をすることになったんです。もちろん連絡先を交換し、今でも時々ご飯に行ったりしています。変な出会いですね」
実は、そのイギリス人男性は日本の大学で勉強していて、将来は日本で研究をしたいとのこと。年齢もジャンルも異なる二人ですが、ひょんなことから二人はとても仲良しになったそうです。
<TEXT/八木正規>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営

