奪い返せる経営者と、奪われ続ける経営者の違い
丹野社長の事例の本質は、義父と娘婿の感情的な対立ではありません。「誰が最終的な意思決定を行うのか」というガバナンスの構造問題にあります。
同族経営では、社長という肩書きだけが与えられ、実権を創業者が握り続けるケースが少なくありません。しかし、責任だけを負わされて決定権を持たない社長の存在は、組織を最も混乱させる要因となります。
丹野社長が事態を打開できた理由は、感情的に反発したからではありません。議決権、株式、役員構成という「構造」をロジカルに組み替えたからにほかなりません。多くの後継者は「いつか認めてもらえるはずだ」と考え、支配される側の論理で耐え続けようとします。しかし、支配する側にとって、従順な後継者は都合のいい存在でしかありません。
だからこそ必要なのは、感情論ではなく「仕組みの設計」です。
・誰が決めるのか
・誰が責任を持つのか
・その権限をどう守るのか
ここを曖昧にしたままでは、会社も人間関係もいずれ必ず歪んでしまいます。同族経営に必要なのは、「揉めないこと」を目指すのではなく、「揉めても組織が壊れない構造をあらかじめ作っておくこと」なのです。
あなたの会社には、その構造が正しく設計されているでしょうか。
萩原 峻大
資産形成・経営アドバイザー
