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純喫茶から出版社のラウンジまで。広がる「滞在」のかたちも神保町の魅力

純喫茶から出版社のラウンジまで。広がる「滞在」のかたちも神保町の魅力

“滞在”の機能は、街のなかへ分散している

ただ、神保町の喫茶文化そのものは、少しずつかたちを変えている。

かつて一軒の純喫茶が担っていた役割は、いま街のなかへ分散しているようにも見える。
近年増えているブックカフェや書店併設型のカフェスペースは、その象徴だ。

この3月に満を持してリニューアルオープンした三省堂書店本店の「喫茶ちそう」には、読書だけでなく、PC作業やひとり利用もしやすい席が並び、電源付きの席も複数ある。

さまざまな目的の利用に呼応したつくりではあるものの、メニューはコーヒーだけでなく、クリームソーダやプリン、カレーなどのいわゆる“喫茶店メニュー”が並ぶのが嬉しい。こういった新しい場所にも、喫茶店のエッセンスが受け継がれていっているのだ。

また、「PASSAGE」のように、本を介したコミュニティをつくる新しいタイプの空間でも、昔ながらの純喫茶のような濃密な空気とはまた違う、“現代的な滞在”が成立している。

静かに読書をする人、オンライン会議前に立ち寄る人、作業の合間に休憩する人。かつて喫茶店のなかに集約されていた機能は、街のあちこちへ広がっていったといえるだろう。

出版社もまた、“場所”をつくっている

神保町では、出版社自身もまた“滞在の場所”を街に開いている。

日本を代表する海外文学、SF、ミステリー文学の最大手出版社・早川書房の本社には、ミステリー文学の巨匠アガサクリスティの名を冠した「サロンクリスティ」が併設されている。

「サロンクリスティ」は、喫茶室でありながら、執筆や読書、イベントなども含めた文化的なラウンジのような役割を持つ空間だ。

早川書房の関係者や訪問客も訪れる一方で、早川書房が多く出版するミステリー小説のファンも多い。

店内にはアガサクリスティの関連書籍やグッズも多く置かれ、ミステリーファンならずともその世界観に触れられる。

もちろん、メニューは定番の喫茶店メニューがラインナップされ、しっかりランチをとることや打ち合わせも可能。ここに篭ってハヤカワ文庫を読むこともできるのだ。

働き方が変化し、打ち合わせのリモート化が進み、紙中心の仕事環境が少しずつ変わっていくなかで、“街のなかで働く”感覚はむしろ増しているのかもしれない。

小学館ビル内のカフェも、出版関係者だけでなく、街を訪れる人たちが自然に立ち寄れる場所になっている。

神保町では、本屋だけでなく、出版社もまた「場所」をつくり続けているのだ。

配信元: Harumari TOKYO

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