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「家族喧嘩でなぜ逮捕?」巨人・阿部監督報道で浮上した疑問。DV・家庭内トラブルの法運用を弁護士が解説

「家族喧嘩でなぜ逮捕?」巨人・阿部監督報道で浮上した疑問。DV・家庭内トラブルの法運用を弁護士が解説

巨人・阿部慎之助監督が、同居する18歳の長女への暴行容疑で現行犯逮捕され、その後釈放・辞任を発表した一連の報道が波紋を広げている。報道によれば、長女がChatGPTに相談したことをきっかけに児童相談所へ連絡が入り、児相から警察に通報が入って逮捕に至ったとされる。

一方、会見では長女の手紙が代読され、「殴る蹴るなどの事実はなかった」「警察が来て驚いた」といった趣旨の説明もあった。SNS上では「家族喧嘩でなぜ現行犯逮捕になるのか」「被害者が大ごとにしたくないと言っても警察は動くのか」といった疑問の声が相次いでいる。

今回の事件のように、家庭内のトラブルが逮捕にまで発展するケースは、かつては“内輪の問題”として扱われがちであった。しかし近年、DVや児童虐待が重大事件に発展したケースを背景に、警察や行政の対応は大きく変化している。DV・家庭内トラブルをめぐる現在の法運用について、アディーレ法律事務所の大垣優希弁護士に聞いた。

阿部慎之助監督
顧問弁護士が読み上げる被害者の娘の声明文を聞く阿部慎之助監督(右)東京都千代田区・球団事務所 写真/産経新聞社

◆家庭内であっても「刑事事件として積極介入」へ方針転換

かつては、家庭内トラブルに警察が関与することについては消極的とも言われてきた。しかし近年、今回の事件でも見られるように、その対応は大きく変化している。大垣弁護士はその背景をこう説明する。

「家庭内での暴力行為が殺人などの重大事件へと発展したケースが繰り返し社会問題となってきました。さらに、児童虐待防止法やDV防止法といった家庭内事案に特化した法制度の整備も進み、行政・警察に対して早期介入を求める流れが強まっています」

こうした経緯から、現在では阿部監督のケースのように家庭内であっても暴力行為が疑われる場合には、「私人間の問題」として処理するのではなく、刑事事件として積極的に関与する方針へと転換しているという。

では、今回の事件のように現行犯逮捕に至るかどうかの具体的な判断基準はどこにあるのだろうか。

「家族間トラブルの場合でも現行犯逮捕については、あくまで刑事訴訟法に基づく一般原則に従って判断されます。つまり、基本的には①「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者」であること、②逮捕の必要性があること、③逮捕の理由があること、といった要件を満たすかどうかが基準となります。ただ、軽微事件の場合は、被害者の意思を確認し、被害届を出さないとなれば、厳重注意で終わることも多いようです」

◆「大ごとにしたくない」と被害者が言っても、警察が動く理由

阿部監督の長女も会見で「殴る蹴るなどの事実はなかった」と説明したが、このように被害者が「大ごとにしたくない」と述べていても、警察が必ずしもその意思に従うわけではない。大垣弁護士によれば、警察は被害者の処罰意思だけでなく、行為態様の危険性や結果の重大性といった客観的事情を重視して、事件化の可否を判断するという。

その理由として、大垣弁護士は家庭内トラブル・DVの特殊性を挙げる。

「被害者が相手への好意を抱いていたり、経済的に依存していたりといった理由で、実際に深刻な被害を受けていても、『大ごとにしたくない』『恥ずかしい』と警察に伝えてしまうケースが見られます。また、過去のストーカー事件では、被害者が『警察の介入を望まない』と言ったため逮捕を見送った結果、殺人事件に発展してしまったケースもあります。警察として、被害者の言葉だけを鵜呑みにはできないのではないでしょうか」

DV案件においては、被害者本人の証言や意思が考慮されないわけではないが、今回の事件のように、それ以上に重視されるのは以下のような総合的な事情だという。

・現場の状況
・当事者の関係性
・過去に通報があったかどうか
・継続的な問題かどうか


配信元: 日刊SPA!

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