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「家族喧嘩でなぜ逮捕?」巨人・阿部監督報道で浮上した疑問。DV・家庭内トラブルの法運用を弁護士が解説

「家族喧嘩でなぜ逮捕?」巨人・阿部監督報道で浮上した疑問。DV・家庭内トラブルの法運用を弁護士が解説

◆18歳でも「虐待」「DV」として扱われ得るのか

今回の事件では、18歳の長女からの相談が児童相談所を経由したと報じられている。児童相談所は、制度上、原則として18歳未満の子どもを対象とする機関であり、その支援や介入も未成年の保護を中心に設計されているため、18歳に達した場合には、形式的には直接的な支援対象から外れることになる。

ただし、大垣弁護士は「年齢のみで機械的に区切られるわけではありません」と強調する。

「18歳に至る前から家庭内の問題が継続して把握されていた場合には、その経緯を踏まえて一定の関与が続くこともありますし、関係機関との連携の中で対応が引き継がれることもある。『18歳だから関与しない』と単純に整理できるものではないのです」

さらに、仮に年齢の関係で厳密な意味での「児童虐待」に当たらないとしても、家庭内で暴力が行われている以上、事案の性質としては家庭内暴力やDVとして評価され得る。「警察は年齢にかかわらず、行為の危険性や再発可能性を踏まえて介入の要否を検討することになる」というわけだ。

◆「しつけ」と「暴行・DV」の境界はどこにあるのか

また、現在の制度上「しつけ」「家庭内問題」と「暴行・DV」の境界はどのように判断されているのか。

「しつけと暴行・DVの境界については、現在の制度上、形式的な呼び方ではなく、行為の内容や子どもへの影響といった実質面から判断されます。とりわけ近年は、いわゆる『しつけ』の名のもとに暴力が正当化されてきた反省を踏まえ、考え方が大きく見直されています」

厚生労働省が示した指針では、「子どもに身体的な苦痛や不快感を与える行為」は体罰に当たると整理されており、頬をたたく、長時間正座させる、食事を与えないといった行為が具体例として挙げられている。

この基準が示すとおり、近年の傾向は「親が正しいと思っているか」「社会的に正しいかどうか」よりも、子ども自身が苦痛・不快感を受けているかどうかが重視されるようになっている。今回の事件も、この視点から法的に評価された可能性がある。

「たとえ子どもに非行があり、親心としては子どものためを思ってやっていることでも、子ども自身が望まず、苦痛だといえば、『暴行・DV』に認定され得るようになっています」と大垣弁護士は続ける。また、身体的な負担をかけていなくても、精神的なDVと認定されるケースもあるという。

「親の立場としては、子ども自身の気持ちを繊細に配慮することがこれまで以上に求められている時代なのではないでしょうか」

今回の阿部監督の報道をきっかけに、多くの人が「家庭内のトラブルがどこまで刑事事件になるのか」という問いに直面することになった。大垣弁護士の解説が示すように、現在の法運用は「家庭内だから」「被害者が望まないから」という理由で警察が手を引く時代ではない。行為の客観的な危険性と、子どもや被害者の保護という観点から、介入の基準は年々厳格化している。家庭内の問題を「内輪のこと」と軽視せず、早期に専門家へ相談することが重要である。

大垣優希弁護士_アディーレ法律事務所
大垣優希弁護士
大垣優希弁護士(第一東京弁護士会所属)

アディーレ法律事務所。夫婦問題や遺産相続、債務整理など、多様な一般民事分野に関心を持つ。法律分野に留まらず、日本化粧品検定1級の資格も保有するなど、専門性のさらなる深化にも意欲的で、身近な悩みに根拠をもって寄り添う解説を志す。

配信元: 日刊SPA!

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