その波はナイトワーカーたちにも押し寄せている。ネットの掲示板への心無い書き込みに、傷つけられる女性は後を絶たない。だが、彼女たちがそれらにどのような対応をしていいのかわからないというのも現実だろう。

彼女はいったい、どのような経緯で行政書士を目指したのか?話を聞いていくうちに、複雑な人生模様が垣間見られた。
◆プレイ用のマットを敷いて勉強
――現在、行政書士としてのキャリアはどれくらいなのでしょうか。「2024年の試験に合格し、2025年11月より行政書士として登録しています。資格を取るために動き始めたのは、試験の3ヶ月くらい前ですね。当時はまだソープで働いていました」
――そもそも、なぜソープで働いていたのでしょうか。
「私は家庭の事情で15歳の時から地元から上京して1人暮らしをしていたんです。高校は中退しましたが、高卒認定を取ったのでそのまま大学に行こうと思っていました。しかし、親からお金を出してもらえず、学費を自分で稼ぐために18歳で銀座のクラブで働き始めたんです。ただ、未成年でお酒が飲めず働きづらかったので、19歳で川崎のソープに入ることにしました」
――吉原で働き始めたのは20歳になってから?
「そうです。おかげで学費が貯まったので、21歳で某大学の法学部に入学しました。そこからずっと司法試験を受けるために頑張っていたのですが、論文で落ちてしまって勉強を辞めてしまったんですよね。
それでも司法予備試験を受けたくて、卒業後はパラリーガル(法律事務員)として法律事務所に勤め始めました。ただ、ソープも兼業で続けていたので、勉強する時間が少なくなってしまって。結局、パラリーガルを辞めてソープ1本に絞ることにしたんです」
――もともと、法律の基礎知識はあったのですね。
「正直、法律は趣味のような感じなんです。裁判所の判例集をずっと読んでいたり(笑)。法律を学んでいると、改めて自分が商品として扱われているという環境は特殊だと痛感するんですよね。同時に、その環境と一般社会を繋いでくれるのもまた法律であるとも思うんです」
――行政書士の道へと進んだのには何か理由が?
「ソープで働いているなかで、何か焦りがあったんですよ。うちの両親は『資格や学歴がないとダメ』という価値観を持っていて、さらにチクチク言うタイプの人たちだったので、その教えが染みついていたというか。『資格を取らないといけない』と、強迫観念のように感じていた部分があったんです。行政書士の試験は司法予備試験と似ているので、取りやすいのではないかという考えもありました」
――勉強はどのようにしていたのでしょうか。
「お店の待機時間やお客様の枠の合間をぬってやっていました。よくベッドで過去問を解いていたのですが、硬すぎて腰が痛くなってしまったので、プレイ用のマットを浴槽に敷いたりしていました(笑)」
――前代未聞の勉強法ですね(笑)。

――資格を取ろうとしていることを、お客様は知っていましたか?
「私が写メ日記に法律のことをたくさん書いていたので、知ったうえで来てくれる方は多かったですね。中には弁護士さんや企業の法務部の方もいました。『勉強しておくから、次に遊びに来たらこの問題の答え合わせしてください』なんてことも言ってみたり」
――それ、良い営業法かも(笑)。
「試験直前になると、プレイはせずに『勉強してなよ』と言ってくださった方もいましたね。それはそれで勉強を見張られている気分でしたけど(笑)」
◆人生波乱万丈!「結婚はこれまでに3回」
――現在はソープを辞め、行政書士として独立。仕事の状況としてはいかがですか?
「ぶっちゃけていいですかね……ソープよりラクです(笑)。行政書士もお客様相手の商売には変わりないですが、ソープで働いている時よりも気持ちに余裕が生まれています。私は自分を社会不適合者だと思っていたのですが、けっこう意外な発見でした」
――わざわざ社不を自称しなくても(笑)。
「だって、2回目の結婚相手に行政書士を目指していることを話したら、『おまえみたいにフラフラしている人間にできるわけがない』って言われたんですもん。酷いですよね。でも、実際には資格は取れたし、ぜんぜん仕事もあるので、ちょっと溜飲が下がりました(笑)」
――待ってください。結婚してたのですか?しかも2回も?
「私、3回結婚しているんですよ。1回目の結婚は大学の時。2回目はソープで働いていることを黙って結婚したのですが、3ヶ月で離婚。今は3回目が継続中なのですが、そろそろ別れそうな気配です(笑)」
――ソープ勤務に3回の結婚……あまりにも波乱万丈すぎる!
「それでも、ソープで働いたことはある意味で財産になっていますよ。行政書士の先輩の中にはものすごく年上の方もいますが、そういったコミュニティに臆せず入り込めるのは、そこで培ったコミュ力のお陰だと思っています」

