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「娘が最後まで面倒をみてくれる」という幻想の崩壊…年金月11万円の82歳母を残し、手取り月24万円の55歳独身娘が家を飛び出したワケ。親子の愛情の「しわ寄せ」がやってきた朝【FPが警鐘】

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「同居介護」に潜む3つの落とし穴

同居介護には、見過ごされがちな3つの落とし穴があります。

1.介護者である子の経済的自立が失われやすい

総務省『令和4年就業構造基本調査』によれば、介護・看護を理由に離職した人は年間約10万人にのぼります。介護離職は、決して珍しいことではないのです。一方、介護離職による生涯収入の損失は、決して小さくありません。

たとえば年収500万円で定年退職まであと10年で介護離職をすれば、5,000万円の収入機会を失うかたちとなります。退職により厚生年金から外れれば、将来の年金額にも影響します。たとえば、年収500万円で残り10年厚生年金加入を継続した場合と比べると、老齢厚生年金の年額に約27万円程度の差が出る可能性があります。離職した時期が定年に近いほど、再就職の見通しにも大きな影響を与える可能性があるでしょう。

2.「家族だから」という思い込みがSOSを遅らせる

厚生労働省の『令和4年 国民生活基礎調査』では、「同居の主な介護者」のうち、「ほとんど終日」介護に時間を費やす人の74.5%は女性であることが示されています。続柄別では、女性の「配偶者」が45.7%と最も多く、次いで女性の「子」が18.5%、男性の「配偶者」が15.7%です。妻や娘に負担が偏りやすい構造は、いまも残っているといえます。

さらに、介護は短期戦とは限りません。生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(2人以上世帯)」(2024年度)によると、介護を行った期間の平均は55.0ヵ月、つまり4年7ヵ月でした。4年以上介護した人も約4割にのぼります。

「家族なら当然」という意識から始まった介護が、5年、10年と続くこともあるでしょう。家族が介護を担っている場合、外部からみると配慮や支援が必要な世帯とは映りにくく、介護を担う家族もそういった雰囲気を理解しています。暗黙のうちに抱え込みやすい構造があり、介護者は仕事や健康状態、人間関係や老後資金づくりなどに少しずつ負担を受けながらも、本人すらそのことに気づきづらく、SOSを後回ししやすくなります。

3.親子の家計が混同しがちになる

同居していると、生活費や光熱費、食費といった生活費が混ざりがちです。どちらがいくら負担しているか不透明になり、それぞれが担うボーダーラインがみえにくくなるのです。

Bさんも、最初は「同居のほうが家賃もかからないし合理的」と考えていました。しかし実際には、母の生活費の不足分や突然の出費をBさんが補い、Bさん自身の暮らしや将来に必要なお金は後回しになっていたのです。

“共倒れ”を防ぐために、元気なうちにやるべきこと

親子の共倒れを防ぐために大切なのは、介護を担う子のキャリアを守ることです。遠回りに思えるかもしれませんが、子が働き続けられる状態を保つことこそ、 長期戦の介護を支え続ける持続可能性を高め、結果的に親の介護の質を高めることが期待されます。

そのうえで、次の点を元気なうちに整えておきたいところです。

まず、「仕事を辞める」ことを最初の選択肢にしないこと。介護休業や介護休暇、時短勤務、テレワークなど、勤務先の両立支援制度を確認しましょう。介護休業は、介護を自分で抱え込むための期間ではありません。公的介護保険サービスを利用し、ケアマネジャーや地域包括支援センターとつながり、外部サービスを組み込んだ体制を作るための時間です。

次に、親子それぞれの家計を見える化すること。同居していても、お財布まで一つにする必要はありません。親の年金で賄う費用、子が負担する費用、将来必要になる医療・介護費、家の修繕費等をわけて確認しましょう。

また、「介護サービスや施設に入る選択肢」を最初から排除しないことも重要です。介護を外部に頼ることは、家族を見捨てることではありません。親の年金額や資産状況に応じて、どのような住まいを選べるのかを早めに調べておくことが、いまと将来の親子の安心につながります。年金からは公的介護保険料が天引きされているはずです。自身が支払った保険料を無駄にしないためにも、公的介護保険サービスの活用は考えたほうがいいでしょう。

そして忘れてはならないのが、子の老後資金です。老後資産づくりや退職金・年金対策が後回しになっていないでしょうか。親の介護に追われて、子自身の老後の生活不安が高まれば、子のその先の人生に大きな影響を与える可能性があります。親の介護プランと照らし合わせながら、持続可能な老後資金づくりのプランニングを進める必要があります。

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