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「娘が最後まで面倒をみてくれる」という幻想の崩壊…年金月11万円の82歳母を残し、手取り月24万円の55歳独身娘が家を飛び出したワケ。親子の愛情の「しわ寄せ」がやってきた朝【FPが警鐘】

「娘が最後まで面倒をみてくれる」という幻想の崩壊…年金月11万円の82歳母を残し、手取り月24万円の55歳独身娘が家を飛び出したワケ。親子の愛情の「しわ寄せ」がやってきた朝【FPが警鐘】

「家族の愛情」と「制度の活用」は両立できる

後日、FPに相談したBさんは、こう打ち明けました。

「仕事中も夜中も、母や家のことが頭から離れませんでした。自分の老後資金なんてとんでもない。もし介護が原因で仕事が続けられなくなったら、私が先に倒れてしまう。会社に介護休業制度があることも、恥ずかしながら最近まで知らなかったんです。上司に相談できる雰囲気でもなく、ただただ一人で抱え込んでいました」

Bさんは、母を残して遠くへ行ったわけではありませんでした。実家から20分ほどの場所に、賃貸アパートを借りていたのです。

Aさんにとっては突然の出来事でしたが、Bさんにとっては違いました。これまでに介護サービスの利用をAさんに相談したこともあったそうです。しかしAさんは「娘がいるのに、外に頼むなんてみっともない」と、頑として首を縦に振りませんでした。

Bさんは、何度も言葉を飲み込んできました。母を見捨てたいわけではない。できることなら、自宅で穏やかに暮らしてほしい。けれども、自身の負担が大きすぎる――。Bさんは、地域包括支援センターに相談したことで、利用できる介護サービスや回数を確認し、配食サービスや見守りサービスの利用もあることを知りました。別居しながらAさんの介護を続けられるかたちが存在することがわかったのです。

同時に、FPと一緒に親子の家計もわけて整理しました。家計を一つずつ棚卸ししていくと、Aさんの年金と貯蓄の範囲内で公的介護保険サービス等を活用しながら暮らしを守っていける展望がみえてきます。親の介護を担う子の人生も、同じように大切です。子が親の介護に向き合うとき、子もまた自身の晩年のライフプランを描いている最中にあります。50代の子にとっての10年は、自分の老後の土台を築く最後の10年でもあるのです。

「誰が最後まで面倒をみるのか」ではなく、「親も子も、どのような暮らしを続けていきたいのか」。これまでの自身の経験だけにもとづく常識にとらわれず、自分たちに合った暮らし方を考えることが介護の備えとなります。

元気なうちに親子で一度、お互いが望む晩年の暮らし方を言葉にしてみてください。親のライフプランと子のライフプラン、二つを重ねて描けたとき、家族の愛情と制度の活用を両立させる道筋がみえてくるはずです。

内田 英子
FPオフィスツクル代表
 

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