◆朝の車内で始まった“謎のライブ”

「このまま静かに会社まで行きたい……と思っていました」
しかし、目の前に立った50代くらいのスーツ姿の男性が、イヤホンを耳に差し込んだ瞬間、平和な時間は終わったという。
「最初は、音楽をきいているだけだと思ったんです」
ところが、その男性は足をトントンと鳴らし、体を揺らし、首を大きくうなずきはじめた。
「そのうち、右手が“空”を叩きはじめたんです。“エアドラム”ですよ」
◆曲調と動きのギャップがすごすぎる

「もう視界の真正面で、1人ステージ状態でした」
あまりの迫力に耳をすませていると……。
“桜〜の花び〜ら”
曲は、まさかのバラードだった。
「思わず、『それドラムを全力で叩く曲じゃないでしょ』って心のなかでツッコミました。朝の通勤時間帯って、静かに過ごしたい人が多いのに、なんでそこで全力を出すのか本当に謎でした」
会社に着く頃には、頭のなかでエンドレス再生されていたという。
電車では個人のマナーが大いに問われる。だが、不快に感じても声をあげにくい空気があるのは事実だ。自分の何気ない行動が周囲の迷惑になっていないか、あらためて意識する必要があるだろう。
<取材・文/chimi86>
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