◆<解説>信用力が借金を深刻化させる
一見すると、公務員という立場は「堅実さ」や「安定」の象徴に見える。だが実際には、その信用力の高さが借入のハードルを下げ、かえって多重債務を深刻化させることもある。財務コンサルタントの桜井潤一氏は、こうしたケースは実務でも起きていると話す。「公務員や大企業勤務の方は、借入枠が大きく、審査も通りやすい。そのため、気づかないうちに借入が膨らんでいくことがあります。よくある流れは、小さな借入から始まり、リボ払いに移り、複数社から借りるようになり、借り換えを重ねるうちに総額が見えなくなる、というものです」
今回のケースもまさにそれだった。最初は小遣いの延長だったはずの賭け金が、クレジットカードとローンによって際限なく膨らみ、最後には本人すら全体像を把握しきれない状態へと転がり落ちていった。
桜井氏は、こうした人たちに共通する危険な思い込みがあると指摘する。
「『安定しているから返せる』『限度額は使っていいお金だ』『いずれ調整できる』。そうした発想が借金を深刻化させます。ですが、“借りられる力”と“返せる力”はまったく別物です」
さらにこのケースでは、借金そのものだけでなく、発覚の遅れが傷を深くした。家計を配偶者が管理していても、別口座や複数の借入先を使って資金を回していれば、表面化までに時間がかかる。では、家庭でそれを防ぐには何が必要なのか。
◆見えない借金を防ぐ家計ルール
桜井氏は、「見える化」と「ルール」だと断言する。「すべての口座や借入を、月1回でもいいので共有すること。借入やリボ払いは事前相談制にすること。そして、自由に使えるお金の範囲を明確にしておくことが大切です」
そのうえで、もうひとつ重要なのが、家族の中での“申告ルール”だという。
「早く言えば責めない、隠したら問題にする。この線引きを最初から作っておくことです。問題は借金そのもの以上に、発覚が遅れることにあります」
借金は、数字が膨らんだ時点で破綻するのではない。見て見ぬふりをし、言い出せず、家族の目からも隠れ続けた時に、取り返しのつかないところまで進んでしまうのだ。
安定職の信用は、本来なら生活を守るためのものだ。だが、それを「借りても大丈夫」という根拠にすり替えた瞬間、安心は最も危うい落とし穴へと変わるのである。

ユニバーサルバンク代表。財務コンサルタント。早稲田大学卒業後、大手銀行に24年間勤務。2020年株式会社ユニバーサルバンク設立。富裕層の資産運用から、数十億の法人融資まで1,000社以上の審査と支援を経験。「銀行を超えた銀行を創る」という思いから2020年独立、「株式会社ユニバーサルバンク」設立。3,000万円以上の自己投資をして起業初年度から年商1億5,000万円のビジネススクールを経営、提供するセミナーも6,000人以上が受講。「真に豊かな人生を送れる人を増やしたい」という想いから、財務×ビジネス×資産形成を融合したReal Wealth®︎プログラムを開発

