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世帯月収手取り55万円の40代夫婦、都心の8,500万円の物件を諦め、郊外の6,000万円のマンションを選んだのに、「住宅ローン破産」したワケ。きっかけは地方広報誌の“お知らせ”【FPが警鐘】

世帯月収手取り55万円の40代夫婦、都心の8,500万円の物件を諦め、郊外の6,000万円のマンションを選んだのに、「住宅ローン破産」したワケ。きっかけは地方広報誌の“お知らせ”【FPが警鐘】

夫婦のライフプランに差した光と影

住宅ローンと管理費等で21万円、そこに跳ね上がった交通費5万円が加わり、住居に関わる固定費だけで毎月26万円が家計から消えていくようになります。これだけでもカツカツの生活でしたが、夫婦のライフプランを揺るがす転機が訪れました。

もともと夫婦は、子どもを持たずに二人で生きていく生活を望んでいました。しかし、このタイミングで予想外の妊娠がわかります。新しい命の誕生を受け入れたのも束の間、妻は妊娠初期から重いつわりや切迫流産の兆候に見舞われ、体調は毎日不安定。絶対安静と医師からも告げられます。

妻にとっては、まだ転職したばかりの新しい職場です。「入社してすぐに長期で仕事を休んだり、産休に入ったりするのはあまりにも申し訳ない……」。そんな罪悪感と精神的なプレッシャーから、妻は職場を退職するという苦渋の決断を下しました。

この瞬間に、夫婦の「共働き前提」の返済計画は完全に崩壊します。妻の収入が途絶えたことで、世帯月収は夫の手取り30万円のみに激減。毎月の固定費26万円を支払うと、手元にはわずか4万円しか残りません。ここからこれからの出産費用や日々の食費、光熱費を捻出することは不可能であり、毎月出る赤字によって、これまでの蓄えはすぐに底を突きました。

万策尽きた植木さんは、マンションを手放して借入を清算しようと不動産会社に売却の査定を依頼しました。しかし、そこで告げられたのは残酷な現実です。

「このエリアはバス路線が衰退して『住みにくい街』という認知が広がっており、相場が落ちています。いま売りに出しても、よくて4,500万円ほどですね」

マンションの資産価値は、植木さん夫妻が購入したタイミングをピークに目減りしており、売却しても1,500万円もの住宅ローンが手元に残ってしまう「オーバーローン」の状態でした。植木さん夫婦は、完全に返済の手詰まりを迎えることになってしまいました。

住宅購入時に見落としやすい「交通インフラリスク」

今回の植木さん夫婦のケースは、予期せぬ交通インフラとライフプランの変化が重なったことで、破産へと追い込まれてしまいました。

住宅購入時、多くの人が重視するのは「価格・広さ・築年数・間取り」といった物件そのものの条件です。しかし実際には、目先の条件だけで判断するのではなく、将来的に起こりうる「地域のインフラリスク」や「自分たちのライフプランの変化」といった不確定要素をセットで視野に入れておく必要があります。

交通の利便性は、マンションの資産価値にも影響します。いまは一定の資産価値があっても、交通インフラの変化で「住みにくいエリア」になれば、とたんに売却時の価格低下につながるおそれがあります。特に、駅から距離があるなどバス利用が前提となる立地や、代替手段が限られたエリアでは、交通環境の変化による影響を受けやすくなります。

住宅を購入する際は、バス路線の維持状況や自治体の交通政策、代替交通手段の有無、さらには将来的な人口動態まで含めて確認するようにしましょう。

また、共働き前提で限界に近いペアローンを組む場合、「ずっといまの健康状態や働き方、家族構成が続く」という前提は非常に危険です。予期せぬ妊娠や出産、病気、あるいは介護といったライフプランの変化によって、どちらか片方の収入が一時的、あるいは完全に途絶えるリスクは、どの世帯にも等しく潜んでいます。

もしライフプランの変化によって家計が立ち行かなくなり、「家を売却してリセットする」という選択を迫られたとき、資産価値が下がっていれば、売るに売れない状態に陥ることもあります。インフラリスクとライフプランの急変は、それぞれが家計を揺るがすだけでなく、重なった瞬間に逃げ道を完全に塞いでしまうのです。

住宅選びで後悔しないためには、こうした将来的に起こりうる“見えにくいリスク”を注意深く確認することが重要です。

森 逸行

ファイナンシャルトレーナーFP事務所

代表

提供元

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